海外情勢

米議会襲撃から半年 与野党、真相究明めぐり攻防

 【ワシントン=黒瀬悦成】昨年11月の米大統領選で敗北したトランプ前大統領の支持勢力が今年1月に連邦議会議事堂を襲撃してから6日で半年となった。トランプ氏は政治活動の本格再開を受け、事件を機に凍結された会員制交流サイト(SNS)などの自身のアカウント復活を目指す一方、議会では事件の真相究明に向けた与野党の攻防が激しさを増しつつある。

 トランプ氏は7日、ツイッターとフェイスブック(FB)、グーグルのIT3社と各社の最高経営責任者を相手取り、自身のアカウント凍結の解除などを求めて南部フロリダ州の連邦地裁に集団訴訟を起こすと発表した。

 ツイッターとFB、グーグル傘下の動画投稿サイト「ユーチューブ」は、トランプ氏が大統領選で「大規模不正によって結果が覆った」とする虚偽の主張を展開し、自身の支持勢力を扇動して1月6日の議事堂襲撃を招いたとして、同氏のアカウントを凍結。FBは凍結措置を2023年1月まで継続し、ツイッターは永久凍結するとしている。

 トランプ氏は東部ニュージャージー州での記者会見で、3社の措置を「保守言論への不法な検閲だ」と主張した。議会襲撃をめぐる自身の責任については、6月に発表された上院の調査報告書には言及されていなかったと反論し、追及をかわす姿勢を示した。

 トランプ氏は24年の大統領選への再出馬を視野に政治活動を本格化させているが、アカウントの凍結で熱烈な支持者以外への発信力が格段に低下している。

 一方、バイデン大統領は議会襲撃から半年に合わせて声明を発表し、「(事件は)反乱者たちによる暴力的で破壊的な攻撃で、米国の民主主義の存亡に関わる試練となった」と強調。「民主主義を守るには、攻撃を招いた憎悪や虚偽、過激主義に立ち向かう良心と勇気を持つ人々が必要だ」とし、超党派による事件を風化させない取り組みと真相解明を訴えた。

 下院は6月末、議会襲撃の真相究明のための特別委員会の設置を決め、ペロシ下院議長が反トランプ派の共和党議員1人を含む8人の委員を選任した。

 一方、トランプ氏に近い共和党議員の間では議会襲撃の矮小(わいしょう)化を図る動きが目立つ。親トランプ派のクライド下院議員は5月の下院監視委員会で「あれを反乱と称するのは真っ赤な嘘。何も知らない人が(襲撃の)映像を見たら、観光客による通常の議会見学だと思うだろう」と主張した。

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