国内

大阪府の新型コロナ出口戦略、専門家「エビデンス乏しい」

 大阪府の吉村洋文知事は15日、新型コロナウイルスワクチンの接種状況に応じて社会経済活動を段階的に再開するための「出口戦略」策定に向け、感染症の専門家らと意見交換を行った。月内に成案化する方針。専門家からは、接種完了者が一定割合になれば集団免疫が獲得できるとの予測について「エビデンス(科学的根拠)が乏しい」との指摘が上がった。

 「大阪は感染拡大の第5波の入り口に立っていると思うし、避けることはできない。ただ、府民に出口が見えない中で自粛要請をしているのも事実だ」。吉村氏はこう述べ、出口戦略のロードマップ(行程表)を策定する意義を強調した。

 意見交換で府は、接種完了者が60~70%になれば、集団免疫の獲得が期待できるとし、感染状況をみながら飲食店などへの制限を緩和する案を提示。専門家らは、接種率という客観的な指標で判断する点を「明確だ」として評価する一方、「集団免疫が達成できない状況もあるのでは」との疑問も呈した。

 大阪大の忽那(くつな)賢志教授(感染制御学)は感染力の強い変異株に懸念を示し、「どうなれば(自粛要請を)どこまで解除できるか、世界中でも分かっていない」と指摘。制限緩和の基準となる接種率を、柔軟に変更できるようにすべきだとの考えを示した。

 接種をしていない人への圧力につながる恐れもあるとの意見も上がった。吉村氏は「正解はないのでプロセスを大事にして最終決定する。目指すべき姿を作り、国にも提案したい」と語った。

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