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50年脱炭素へ次期基本計画 エネルギーの現状との乖離大 

 経済産業省は21日、国の中長期的なエネルギー政策の方向性を示すエネルギー基本計画の素案を有識者会議に示した。2050年の脱炭素化に向けた一里塚としての位置づけだが、政府が描く50年の絵姿と現状の乖離(かいり)は大きく、長期的な戦略がなければ目標に到達できないことは明らかだ。技術革新に加え、エネルギーをめぐる日本の事情に応じた取り組みが不可欠とみられている。

 政府はこれまでの議論の中で、50年の脱炭素化が実現した場合の電源構成を参考値として示してきた。再生可能エネルギーを50~60%、原子力と二酸化炭素(CO2)回収を前提とした火力を30~40%、水素・アンモニア発電を10%とする内容だ。これに対して19年度実績は、再生エネ18%、原子力6%、火力76%で、現実と理想の間には大きな差がある。

 政府は30年度の温室効果ガス排出量を13年度比で46%削減するという国際公約を達成できれば、その延長線上に50年の脱炭素があるとする。「グリーン成長戦略」では洋上風力発電の発電能力を40年に最大4500万キロワットにし、燃焼時にCO2を出さない水素燃料を50年に約2千万トン導入するといった方策を示している。

 しかし現状では洋上風力はほぼ普及しておらず、水素にもサプライチェーン(供給網)整備などの課題が多い。目標実現には革新的な技術開発が必要だ。

 また、次期基本計画の柱の一つである省エネの実現も見通せない。菅義偉首相が「35年に新車の100%を電動車にする」と表明したように社会の電化が進めば、電力需要が飛躍的に増える可能性もある。

 日本総合研究所創発戦略センターの滝口信一郎シニアスペシャリストは「日本は大型火力発電所を代替するような低コストの大型再生エネ発電所は望めない」と指摘する。

 滝口氏は解決策の一つとして「住宅の多い郊外には屋根上太陽光、農村部にはバイオマス発電といったように、需要側に近い場所で再生エネを増やし、送電コストを抑えることが必要」と分析。電気自動車(EV)蓄電池を活用する仕組みの整備なども含め、社会や産業と連携して再生エネ導入のコストを抑え、脱炭素化への道筋を付けるべきだとしている。(那須慎一)

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