海外情勢

中国、産児制限の罰金廃止へ

 【北京=三塚聖平】21日付の中国共産党機関紙、人民日報によると、党と政府は同日までに、産児制限に違反した夫婦に対する罰金の廃止を決めた。共産党は5月末、1組の夫婦に3人目の出産を認める方針を決めており、これに対応する少子化対策の措置として打ち出した。

 これまでは制限を超える数の子供をもうけた場合、「社会扶養費」の名目で平均年収の数倍に相当する罰金を払う必要があった。罰金が廃止されれば、産児制限の実質的な撤廃につながる可能性がある。

 中国では「一人っ子政策」の廃止から5年が過ぎても出生数が思うように伸びていない。経済力低下に直結する人口減少が迫っており、習近平政権は危機感を示している。

 国家衛生健康委員会の幹部は21日の記者会見で、罰金廃止について「制約措置は時宜に合わなくなっており、廃止することが必要だ」と述べた。3歳以下の幼児保育にかかる費用を個人所得税から控除するといった子育て支援策の導入も検討するとした。

 3人目の出産容認をめぐっては、生活費や養育費の高騰から「2人だって育てられない」といった反発の声が出ていた。

 40年近く続いた「一人っ子政策」により、中国では少子高齢化の急速な進展が見込まれている。2020年の出生数は前年比18%減の約1200万人だった。総人口は25~30年にピークを迎え、減少に転じると予想されている。

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