海外情勢

世界の五輪開会式報道 記者たちは演出を評価も無観客には嘆き 

 新型コロナウイルスの影響で史上初の1年延期となった23日夜の東京五輪開会式は、東京に集まった各国メディアによって世界中に伝えられた。取材拠点のメインプレスセンター(MPC)では海外メディアが開会式の演出を評価する一方で、多くの競技が無観客となったことについて嘆く声が相次いでいる。

 「ドローンで大会エンブレムを空に表現するなど、芸術的でとても素晴らしかった」

 MPCで作業をする英紙デーリー・ミラーのウォルターズ記者は開会式の演出をこう評価した。同紙では、開会式の演出や選手の喜びなどを伝えるとともに五輪開催への抗議デモがあったことなども報じているという。別の同紙記者は「記事の中に良い側面と悪い側面の両方の要素を入れている」と話す。

 イタリア紙ラ・スタンパのディマリノ記者は、開会式の演出は「壮観で感動的だった」と振り返る。五輪のシンボル「5つの輪」をかたどった木製のオブジェなど「日本人にとって大事であろう『木』の文化を感じた」と語る。

 同紙は五輪開会式に関する記事を1面に掲載。ディマリノ記者は、新型コロナウイルス禍での開催だが、「全ての国・地域の選手団が一つの会場に集まる姿を見て、心に響くものがあった」と胸に手を当てた。

 また、通信社世界大手のカメラマンは無観客開催について「とても悲しい」と肩を落としながら、「選手だけでなく無観客の会場も撮影する」と話した。

 MPCで多くのメディア関係者が異口同音に無観客の競技を「残念だ」と語る一方で、コロナ禍での開催を支持する声も多い。

 ベルギーの大手通信社ベルガの記者は「厳しい状況だが、大会中止より、無観客でも開催される方がいい。他の国がホスト国だったら、日本のように開けるかは分からない」と日本側の対応を評価する。

 ベルギーでは欧州西部を襲った今月中旬の豪雨で30人を超える犠牲者が出ている。同記者は「洪水被害で国民全員が今回の五輪を楽しめるか分からないが、五輪を通して気持ちを共有し一緒になれる」とスポーツの祭典の意義を語る。

 東京五輪開催を批判する動きや報道が続いたことについて、米ニューヨーク・タイムズ紙の記者は「2016年のリオデジャネイロ五輪では施設の建設が大幅に遅れる問題があった。五輪が始まる前はいつもネガティブなニュースが出る」と指摘。現在の東京五輪に対する批判も特別な状況ではないと分析する。

 東京五輪が「一大感染イベント」になる可能性を指摘するなどしてきた同紙の報道には「五輪に関するすべてのニュースを扱う」ことから批判記事もあれば、ストレートなスポーツ記事もあると説明した。同記者は「競技が本格的に始まれば、スポーツニュースが増え、報道の焦点も変わっていくだろう」と語った。

 24年に次回の夏季五輪を開催するフランスでは、24日付のフィガロ紙が「感動的な式典の最後、聖火が東京を赤く染め、『疫病五輪』を開会させた」と報じ、大坂なおみ選手が聖火台に点火した場面の写真を1面に掲載した。

 生中継した仏国営テレビは「簡素だが、詩的、文化的側面は劣っていない」と伝え、日本の歴史に光を当てる演出内容だったと称している。

 米CNNテレビ(電子版)は無観客の会場写真を掲載し「満席のように見えるが、人はいない」と指摘。異なる色で塗られた席によって人がいるように見えていることを解説した。選手団入場に関しては「アルゼンチンは一緒に踊り、歓声を上げながら入場した」とコロナ対策の綻(ほころ)びを指摘した。

(坂本一之)

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