海外情勢

米、新たにワクチン接種で100ドル バイデン氏が促進策「責任ある判断を」

 【ワシントン=大内清】バイデン米大統領は29日、新型コロナウイルスのワクチン接種を促すため、各州政府などに対し、連邦政府からの予算を活用して新たにワクチンを接種した人に100ドル(約1万900円)を贈呈するよう勧告するなどの措置を発表した。感染力の強いインド由来の変異株(デルタ株)の感染が広がる一方でワクチン接種率は伸び悩む中、すでに一部の州などで実施されている金銭的インセンティブ(動機付け)を連邦レベルに拡大する。

 バイデン氏はこの日の演説で、ワクチン接種を拒んでいる人々に対し、「自由は責任を伴う。お願いだから責任ある判断をしてほしい」と訴えかけた。

 バイデン氏はこのほか、企業に対し、従業員やその家族がワクチンを接種する際に有給休暇を認めれば、政府が費用を補償するとも発表。米企業の間では夏季休暇明け以降をにらみ、従業員にワクチン接種を義務付ける動きが広がっており、政府としてもそうした取り組みを後押しする。

 また、新学年となる9月から学校での対人授業が全面的に再開できるよう、すべての学区に簡易クリニックを設置するなどして学校関係者へのワクチン接種を重点的に進めると説明。連邦政府の全職員や契約業者にはワクチンの接種証明を求めることや、米軍将兵らが接種を義務付けられているワクチンのリストに新型コロナワクチンを加える考えも明らかにした。

 米国で少なくとも1回のワクチン接種を済ませた人は29日時点で約57%。米政府はデルタ株の感染拡大が続いていることに危機感を募らせており、米疾病対策センター(CDC)は、全米の6割超の郡で感染レベルが相当程度以上に高い状態にあると警告している。

 バイデン氏はこの日の演説で、「ワクチンは共和党の(トランプ)前政権下で開発され、民主党の現政権下で接種が進められている。これは政治ではなく命の問題だ」とも強調した。共和党のトランプ前大統領を支持する人が多い地域ほど接種率が低い傾向があるとされるのを念頭に置いた発言とみられる。だが、接種率が低く共和党が優勢な南部諸州などでは、バイデン政権がワクチン接種やマスク着用をはじめとする新型コロナ対策を実質的に義務付けようとしているとの反発が強く、一連の接種促進策が奏功するかは見通せないままだ。

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