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本上場移行は不認可、国内唯一のコメ先物市場が廃止 堂島社長「完全撤退」

 農林水産省は6日、大阪堂島商品取引所が申請していた試験上場中のコメ先物取引の本上場移行を不認可とした。堂島の中塚一宏社長は東京都内で記者会見を開き、試験上場の延長申請をしない方針をあらためて説明。現在の試験上場期限の7日をもって、国内唯一のコメ先物市場が廃止となることが決まった。

 中塚氏はコメ先物について「この国の農業、農業生産者のためになると思っていた。不認可はとても残念」と述べた。将来的にもコメ先物から「完全撤退する」と表明した。

 コメ先物は旧民主党政権下の平成23年に試験上場を開始。当初は取引高が低迷し、2年ごとの試験上場延長で市場を存続させてきた。ここ2年は取引高が過去最高水準になり、今回の申請を「10年間の集大成」に位置付けて本上場移行に向け踏み切った。

 農水省からの通知では、生産者や流通業者の取引参加者数が伸びていないことなどを理由に基準を満たしていないと判断されたという。

 7日の試験上場の期限後、商品ごとに定められた期限が到来するまでの間は取引できるが、期限を新規に設定する取引はできなくなる見通しだ。「新潟コシ」などの主要商品は来年6月が期限となる。

 堂島は今年4月に会員組織から株式会社に移行。ネット金融大手のSBIホールディングスや海外金融機関などが出資した。コメ先物取引という中核事業を失い、経営方針の転換は避けられない。経営への影響は軽微とするが、中塚氏は「堂島イコールお米。シンボルがなくなるのは残念」と語った。

 今後は貴金属などの先物取引を始め、総合取引所になることを目指している。

 コメ先物の本上場移行をめぐっては、全国農業協同組合中央会(JA全中)などのJAグループや自民党が反対姿勢を示していた。

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