【ワシントン=塩原永久】バイデン米大統領が重視する巨額インフラ投資法案が上院で大詰めの審議に入った。道路や橋などの修繕に充てる1兆ドル(約110兆円)規模の法案は、修正手続きを経て週内にも可決する可能性が出てきた。成立には下院の可決と大統領の署名が必要だが、超党派でまとめた法案が上院を通過すれば政治融和を説くバイデン氏の得点となる。
上院民主党トップのシューマー院内総務は4日の審議冒頭、「修正作業は大きく前進した」と述べ、採決を急ぐ考えを示した。上院は来週から夏季休暇に入る予定で、シューマー氏は週内可決を迫っている。
バイデン氏が3月下旬、当初2兆ドル超で公表したインフラ投資計画は、上院で与野党が1兆ドル規模とすることで歩み寄った。超党派の議員グループが今月1日に法案を公表。約4カ月続いた協議の終幕がみえてきた。
米メディアによると、法案には空港や港湾の改修に加え、電気自動車(EV)充電施設や家庭向けブロードバンド(高速大容量)通信網の整備も盛り込んだ。新規歳出を5500億ドル程度に抑え、残りは新型コロナウイルス対策費などの未使用財源を充てる方針だ。
一方、与党・民主党はこれとは別に、約3兆5千億ドルの福祉拡充・環境投資案を取りまとめ、単独可決を目指している。シューマー氏はインフラ法案と合わせて休暇前に上院を通過させる意向だが、野党・共和党は反対しており、与野党間の火種となっている。