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極超音速ミサイル 早期探知へ無人機活用を検討

 防衛省が、マッハ5以上で飛ぶ極超音速ミサイルの早期探知を可能にするため、無人航空機の活用を検討していることが7日、分かった。すでに検証を終えている弾道ミサイル用の探知システムを応用する考えだ。極超音速兵器をめぐっては、中国、ロシアが開発でリードしており、日本政府は対処力の構築を急いでいる。

 極超音速兵器は、従来の対空レーダーを猛スピードでかいくぐって飛来するため、探知が遅れ迎撃が困難とされている。将来の軍事バランスを一変する可能性がある「ゲーム・チェンジャー」との位置付けで、各国が開発を競っている。

 中でも先行しているのが中国とロシアで、中国は2019年10月の軍事パレードに極超音速滑空兵器を搭載可能な中距離弾道ミサイル「DF17」を登場させた。ロシアも同じ滑空兵器の「アバンガルド」を開発し、すでに配備が始まっているとされる。

 既存のミサイル防衛システムでは迎撃が困難で、探知の遅れを克服するために検討されているのが、無人航空機の活用だ。

 防衛省は弾道ミサイルの早期探知を可能にするシステムの研究を進めてきた。無人航空機に小型の赤外線センサーを搭載し、より敵に近い空域で運航させるというもので、令和元年に技術の検証を終えている。

 無人航空機は、気象状況を考慮しながら飛行経路を選び、継続的な監視ができるようになっている。収集したデータは地上システムに転送する。複数の無人航空機を前方空域に配備し、赤外線センサーで極超音速兵器を捉えられれば、早期探知は可能になるというわけだ。無人機であれば、仮に撃墜されたとしても人命が失われることはなく、費用面でも安価に抑えられる可能性がある。

 防衛省はまた、水上艦艇から極超音速兵器を探知・追尾するためのレーダー技術の研究も進めている。

 政府はこのほかに極超音速兵器対策として、宇宙の低軌道に多数の小型人工衛星を投入する「衛星コンステレーション」の構築を目指しており、多層的に監視網を敷きたい考えだ。(大橋拓史)

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