8日に閉幕した東京五輪の期間中、国内の株価は1・2%上昇した。日本が金メダルを10個以上獲得すれば大会期間中の株価が上昇するという“経験則”は守られた。ただ、新型コロナウイルス禍の影響を受けた異例尽くしの大会で、自国開催で過去最多という金メダルの結果に見合った上昇にならなかったようだ。
東京五輪閉幕後の営業日である10日の東京株式市場の日経平均株価の終値は、連休前の6日と比べて68円11銭高の2万7888円15銭。7月23日の開会式直前の営業日だった21日の終値2万7548円と比較すると、五輪期間中の上昇率は1・2%にとどまった。
1968年のメキシコ大会以降、日本が金メダルを2桁獲得した夏季五輪の5大会全てで、期間中の株価は上昇している。
しかし、今大会はコロナ禍の影響で大半の競技会場が無観客となり、期間中の感染拡大が株価下押しに作用。その結果、金メダルを2桁以上獲得した多くの大会中の株価上昇率が2~3%台だったのに対し、今回は1・2%と、2004年アテネ大会の1・4%を下回り過去最低となった。
一方、日本勢の金メダルが相次いだスケートボードの販売を手掛けるモリトや、選手にスポーツ用品を提供したミズノの株価は期間中に年初来高値を更新。三井住友DSアセットマネジメントの宅森昭吉チーフエコノミストは「日本選手の活躍は消費や投資家心理に前向きな影響を及ぼし、メダリストの関連企業の株価や業績の上昇に貢献した」とみている。(西村利也)