国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第1作業部会は今月9日に発表した報告書で、産業革命前(1850~1900年の平均)と比べた世界の平均気温の上昇幅が2021~40年に1・5度に達するとの見通しを公表。人類が排出する温室効果ガスが影響を与えていることに「疑う余地がない」とした。
報告書は温室効果ガスの排出量に応じたシナリオを示し、排出量を今世紀半ばに実質ゼロにすれば81~2100年に上昇幅を1・4度に抑えられると予測。一方で削減策を講じなければ81~2100年に気温が4・4度上昇すると分析した。
報告書は、10年に1度の熱波が発生する頻度は1・5度上昇した場合には産業革命前の4・1倍、4度上昇では9・4倍に上ると試算。豪雨の発生頻度は、それぞれ1・5倍と2・7倍に、干魃(かんばつ)もそれぞれ2倍と4・1倍になるとした。
報告書を受け、グテレス国連事務総長は「人類への警鐘だ」と訴えた。
10月末から開催される国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)では温室効果ガス削減策の強化が大きな論点となる方向で、議長国の英国のジョンソン首相は「次の10年が地球の未来を守るために極めて重要なものとなる」と各国に一段の努力を促している。