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「地中熱」活用促進へ新技術 埼玉県が特許取得

 埼玉県は、地中の熱伝導率を効率的に測定できる新たな技術を開発して特許を取得した。測定にかかるコストや時間を従来の方法の半分程度に抑えることができるという。測定の作業は、再生可能エネルギーとして注目される地中熱の活用に必要で、県はエネルギー関連事業者と連携して早期の実用化を目指す。

 地中の熱伝導率は、穴を掘って中の地層を加熱し、どの程度温まりやすいかを計測することで調べる。

 一般的な方法として知られるのは、穴にU字型のパイプを設置し、内部に流し続けた温水の温度変化から測定する「温水循環法」だが、コストは1回につき約100万円、時間は48時間以上かかるという。

 埼玉県環境科学国際センター(加須市)が開発した新たな技術では、風船状のゴムチューブをシート状のヒーターで覆い、外側に温度センサーを取り付けた小型の装置を使う。掘った穴の中の測定したい部分まで移動させ、そこで空気を送りゴムチューブを膨らませて温度センサーを地中に密着させ、ヒーターを加熱して温度の変化を調べる。

 温水循環法の場合、パイプを設置した部分全体の熱伝導率の平均値しか分からないのに対し、新たな技術だと、知りたい部分を絞り込んで熱伝導率を調べることができる。

 地中熱は浅い地盤に存在するエネルギーで、年間を通じて温度が15度程度で一定していることが特徴だ。

 太陽光発電と違い天気に左右されない再生可能エネルギーとして注目され、埼玉県内でも、大宮署(さいたま市大宮区)や複合施設「ウェスタ川越」(川越市)などで冷暖房を中心に活用されている。

 だが、コストなどの問題が普及の足かせになっているのが現状で、センターの担当者は「画期的な新技術を地中熱の利用促進につなげたい」と話している。(中村智隆)

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