菅義偉(すが・よしひで)首相は25日の記者会見で、新型コロナウイルス特別措置法に基づく緊急事態宣言に北海道、宮城、岐阜、愛知、三重、滋賀、岡山、広島の8道県、蔓延防止等重点措置は高知、佐賀、長崎、宮崎の4県を加えることを表明した。会見の詳報は以下の通り。
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「先ほど新型コロナ対策本部を開催し、北海道、宮城県、岐阜県、愛知県、三重県、滋賀県、岡山県、広島県に緊急事態宣言を発出するとともに、高知県、佐賀県、長崎県、宮崎県に蔓延防止等重点措置を適用し、期間はそれぞれ8月27日から9月12日までとすることを決定いたしました」
「新規感染者数は過去最大の水準を更新し続けています。特に、中部圏などにおいて高い増加を示しています。全国的にほぼ全ての地域で、これまでに経験のない感染拡大が継続いたしております。保健所の体制や、医療提供体制も厳しい状況が続いています。こうした中で、各地域の病床の状況などを踏まえ、対象を追加する判断をいたしました」
「私は先週、こうした地域において医療体制の構築、感染防止、そしてワクチン接種という3つの柱からなる対策を徹底していくと申し上げました。国民の皆さまのご協力をいただきながら、この危機を何としても乗り越えていく。そうした決意に変わりはありません。感染拡大が急速に広がる中で、多くの方々が不安な気持ちで過ごされていると思います。確実に医療を受けることができるよう、緊急的な医療対策を速やかに進めてまいります。国民の命と暮らしを守るため、必要なことを1つ1つやり遂げてまいります」
「医療体制の確保ですが、まず第1に自宅療養者への対策です。自宅で療養されている方は大変、心細い気持ちで過ごされていると思います。患者さんが最初に受診した診療所などにおいても、健康観察や相談、電話診療などを行っていただける体制を地域の実情に応じて医師会の協力も得て、速やかに構築をしてまいります。先日、自宅療養中の妊婦さんが受け入れ病院の調整に困難を来たし、赤ちゃんを亡くされるという大変、痛ましいことがありました。新型コロナに感染した妊婦に対応できる高度な医療体制についても、地域での確保を進め、緊急時でも迅速な搬送を行えるよう、病院、都道府県と、消防機関の情報共有と連携の強化を徹底してまいります」
「第2に、病床の確保であります。一昨日、都内の医療機関に対して最大限の入院患者の受け入れなどについて、感染症法に基づく要請を国と東京都で共同で行いました。また、今回の緊急事態宣言の発出に当たり、国からそれぞれの都道府県に対し、最大限の病床を確保し、医療体制を速やかに強化するようお願いを致しました。国としても自治体の医療強化の取り組みには全面的な支援を行ってまいります。そして国立病院機構においては、新型コロナ対応の病状を東京全体で200床まで拡大し、全国の新型コロナ対策センターとしての役割を果たして参ります」
「今回の感染拡大に際し、いわゆる野戦病院を作るべきだ。こうした多くの指摘をいただいております。病院の空きベッドやそれ以外の施設も活用し、酸素の投与を可能とする緊急の施設はこれまでに全国14カ所に設けられてきました。こうした一時的な療養施設を宣言地域を中心にさらに増やしてまいります」
「第3に、新薬による重症化防止です。新たに中和抗体薬は、すでに1400の医療機関で1万人に投与され、重症化を防ぐ極めて高い効果が出ているとの声が現場から寄せられております。これまでその対象は入院患者のみとされてきましたが、入院せずとも使うことができるよう、外来で使うことも可能とします。必要な数量はしっかりと確保しております。今後とも50代以上の方や基礎疾患のある方を対象として、集中的に使用し、重症化を防いでまいります」
「残念ながら、子供たちの感染も増えています。9月の新学期を控え、できる限り教育の機会が損なわれることのないよう、子供たちの対策を進めていきます。まず学校での感染が大きく広がることのないよう、チェックリストの周知を進め、発熱等の症状がある場合は登校しないことなど、基本的な感染対策を徹底してまいります」=(2)に続く