海外情勢

IS系「ホラサン州」 高いテロ能力、武力の応酬も

 【シンガポール=森浩】米中央軍は27日、アフガニスタンの首都カブールの空港付近で自爆テロを実行したとされるイスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)傘下の「ホラサン州」(IS-K)に報復攻撃した。米軍は幹部殺害を主張したが、組織の壊滅には遠い。IS-Kの戦闘力は高く、アフガンで実権を掌握したイスラム原理主義勢力タリバンとも敵対する。31日の米軍撤収完了後、アフガンをめぐり武力の応酬が起こる可能性もある。

 IS-Kは2015年に創設され、東部ナンガルハル州を拠点とし、パキスタンとの国境付近に潜伏している。タリバン指導部を「穏健的だ」と捉えて反発した同戦闘員を吸収して勢力を拡大、現在は約2千人の戦闘員がいるもようだ。IS-Kにとってタリバンは対米ジハード(聖戦)を放棄した「背教者」で、米国とともに敵視している。

 過去の米軍の攻撃でIS-Kの主要拠点は破壊されたとの分析もあるが、都市部でテロ攻撃を繰り返している。今年5月にはカブールの女子学校で生徒ら80人以上が死亡した自爆テロをしたとされる。産院を襲撃したこともあるなど、アフガン政府を主な攻撃対象としたタリバンと違って、民間人も躊躇(ちゅうちょ)なく襲うのが特徴だ。

 タリバンにすれば対応は容易ではない。過去にIS-K掃討作戦を実施したこともあるが、殲滅(せんめつ)には至らなかった。今月26日の自爆テロではタリバンにも少なくとも28人の死者が出ており、IS-Kの動きを察知できていないことも露呈した。

 国内では北東部パンジシール州で、旧タリバン政権に抵抗した国民的英雄のマスード司令官の息子、アフマド・マスード氏らが反タリバン勢力の結集を狙う。タリバンは28日までにマスード氏側と一時停戦で合意したが、政府軍の一部がマスード氏に合流する動きがあり、戦闘再燃も懸念されている。

 タリバンは新政権樹立に向けた作業を進めているが、軍隊の再編など治安維持に関わる体制の先行きは不透明で、米国も含めた勢力対立の激化に発展する恐れもある。

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