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「ワクチン接種済み」で行動制限緩和 感染防止と経済回復の切り札に (2/2ページ)

 一方、ワクチン接種と行動制限を結びつけることには慎重さも求められている。既往歴のためにワクチンを接種できない人もおり、義務化は接種の強制やいわれのない差別につながる恐れがあるからだ。

 ただ、緊急事態宣言などに基づく行動制限が長期化する中、いつまでも経済活動を縛り続けることへの懸念は強まっている。

 欧米では飲食店や劇場、ジムなどの利用にワクチン接種を義務化する動きもある。欧州連合(EU)では入国時の自主隔離期間の免除などに使える「ワクチンパスポート」も導入された。国内でもプロ野球福岡ソフトバンクホークスが主催試合で接種証明などを入場の条件とした。義務化なくして実効性の担保は難しいとの見方は強い。

 経済同友会の桜田謙悟代表幹事は8月末の会見で「国全体のため何を義務化して、何を個人の自由に任せるべきか。国民が関心を寄せている問題こそ、もっと突っ込んだ議論を」と、接種の義務化を視野に入れた検討の必要性を訴えた。

 野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストは「国内の接種率は50%に近づいており、既に接種証明を積極活用すべき分岐点に達している」と指摘。義務化については「国民の理解を得られないかもしれないが、政府が推奨することも検討すべきではないか」と話している。(福田涼太郎、蕎麦谷里志)

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