疾風勁草

菅義偉総理退陣が意味するもの 時代は指導力のある強いリーダーを求めている (2/2ページ)

高井康行
高井康行

 日本に孝子や忠臣は現れるのか

 菅総理の不出馬により、一気に自民党内の流動化が始まった。だが今、日本は、国内においては、皇統の維持、現行憲法の改正、エネルギー政策、人口政策等、対外的には、急激に不安定化している安全保障環境への対処、例えば、対中抑止、その抑止が破れたときの対処など、国の根幹を左右する極めて重要な課題を抱えている。

 米国は、対中抑止に集中するという理由を設けてアフガンから撤退したが、もし、タリバンが習近平政権と連携するようなことにでもなったら、これまで以上に対中抑止と対テロ抑止の二正面作戦を強いられることになる。

 日本の対中抑止は日米同盟に依拠しているが、米軍のアフガン撤退、その際の情勢判断の誤りなどを見れば、日本が日米同盟に過度に依拠することなく、自分の国は自分で守る覚悟を持ち、粛々とそのための備えをしなければならないことは、より明白になった。これからの日本には、ややもすれば優柔不断でヒトラーとの宥和政策をとったチェンバレンではなく、イギリスとイギリス国民の力を信じ強い意思でヒトラーとの対決を国民に説いたチャーチルが必要だ。

 「家貧しくして孝子顕(あらわ)れ、世乱れて忠臣を識(し)る」と言うが、果たして、日本に孝子や忠臣は現れるのか。

 戦後日本の教育には、チャーチルのような人物を生み育てるだけの力があったのか。これからの自民党総裁選、それに続く衆議院総選挙がその答えを出すだろう。

高井康行(たかい・やすゆき)
高井康行(たかい・やすゆき) 弁護士、元東京地検特捜部検事
1947年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒業後、1972年に検事任官。福岡地検刑事部長、東京地検刑事部副部長、横浜地検特別刑事部長などを歴任した。岐阜地検時代には岐阜県庁汚職事件を、東京地検特捜部時代はリクルート事件などを捜査。福岡地検刑事部長時代、被害者通知制度を始める。1997年に退官し、弁護士登録。政府の有識者会議「裁判員制度・刑事検討会」委員を務めたほか、内閣府「支援のための連携に関する検討会」の構成員や日本弁護士連合会の犯罪被害者支援委員会委員長などを務めた。テレビや新聞でも識者として数多くの見解を寄せている。

【疾風勁草】刑事司法の第一人者として知られる元東京地検特捜部検事で弁護士の高井康行さんが世相を斬るコラムです。「疾風勁草」には、疾風のような厳しい苦難にあって初めて、丈夫な草が見分けられるという意味があります。アーカイブはこちらをご覧ください。

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