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杉並区議会紛糾 宣言発令中、群馬で区事業応募者が幹部とゴルフ

 東京都杉並区の田中良区長と区幹部3人が7月、緊急事態宣言発令中に区内の経済団体との会合のため群馬県のゴルフ場を訪れていた問題で、区の指定管理事業に応募中だった造園会社の社長も会合に同席していたことが15日、分かった。選定に関わる区幹部とゴルフのプレーもしていた。区は指定管理者を募集する際、事業者と選定に関係する区職員の接触を禁止している。また、田中氏の越境をめぐり同日昼時点で約100件の苦情が区に寄せられた。

 業者の同席は区議会区民生活委員会での質疑で明らかになった。区立阿佐谷地域区民センターなど4施設の指定管理者の指定に関する議案の審査中、区が選定した造園会社の社長が、7月の会合に参加していたことが判明。会合が選定に影響を及ぼした可能性をめぐり、6時間以上にわたり議論が紛糾、委員会室にヤジが飛び交う事態となった。

 田中氏と区民生活部長ら区幹部3人は7月14日、群馬県のゴルフ場で行われた東京商工会議所杉並支部の幹部会議に出席。4人は同日夜、東商幹部と15人前後で酒類を伴う会食を行い、15日朝のゴルフにも部長と別の幹部が参加した。

 区側の答弁によると、部長は造園会社を指定管理者に選んだ選定委員会の委員も務め、ゴルフ当日は造園会社の社長と同じグループでプレーしていたという。

 会合が行われた7月は指定管理者の選定期間とも重なっていた。区は指定管理者の募集要項の留意事項に「応募団体の関係者は選定委員会委員および募集に関係する区職員との故意の接触を禁じる」と明記しており、接触した場合は「失格となることがある」と定めている。

 委員会では、「無所属・少数会派連携」の奥山妙子区議が「選定中に会食をし、ゴルフをしたのは要項で禁止された接触ではないのか」と追及。区側は一時、「会食、ゴルフは基本的に避けるべきだと思う」と認めた。ところが休憩を挟んで委員会が再開すると、「意義ある懇親の機会であり、画一的にダメではないと認識している」と主張を一転、接触には該当しないとの見解を示した。

 田中氏も答弁に立ち、「誤解を与えるような時系列になってしまったのは申し訳ない」と謝罪したが、「そもそも(造園会社の)社長が事業に応募しているとは知らなかった。社長は古くから知る立派な人。やましいことは何もない」と反論した。

 議案は最終的に自民、公明、立民の賛成多数で可決された。賛成した区議からは「選定の公平性は保たれていた」「事業者の過去の実績は十分」と擁護する意見が出た一方、反対した区議は「区民の理解は到底得られない」などと述べた。

 また、区広報課は15日、田中氏が宣言下に群馬県へ越境した件をめぐり、同日昼時点で約100件の苦情が電話で寄せられたと明かした。「出張は不要不急ではないか」「リモートでもできたのではないか」といった内容が多いという。(竹之内秀介)

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