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核燃料サイクル 自民党総裁選で注目 慎重議論を  

 自民党総裁選では原発の使用済み核燃料を再利用する「核燃料サイクル」の行方に注目が集まっている。河野太郎ワクチン担当相が抜本的な見直しを明言し、自民党内の原発推進派や電力業界などが警戒感を強める。再処理を止めれば使用済み核燃料の行き場がなくなるため今後の原発の運転に大きな影響を与えるだけでなく、立地自治体や住民の反発にもつながり、慎重な議論が求められている。

 河野氏は総裁選で、当面の間は安全性が確認された原発を再稼働する方針を容認したものの、核燃料サイクルは「なるべく早く手じまいすべきだ。再処理をやめるのは一日も早い方がいい」と訴える。

 これに対し、岸田文雄前政調会長は「核燃料サイクルは維持しなければならない」と明言。各地の原発で使用済み核燃料の保管容量が限界に近づいており、「サイクルを止めたら、今動いている原発すら動かせなくなる」と指摘する。

 核燃料サイクルは原発で出る使用済み核燃料を再処理し、取り出したプルトニウムやウランを燃料として再利用する。資源が少ない日本では原子力政策の基本方針として推進してきた。河野氏が言う核燃料サイクルの停止は政府方針の大転換を意味し、原発立地自治体や住民の不信感を招きかねない。電気事業連合会も「長期的視点に立ち、一貫性をもって進めていくことが重要」だと訴える。

 一方、核燃料サイクルは順調とは言い難い。当初、取り出したプルトニウムは高速増殖炉で消費する計画だったが、原型炉である「もんじゅ」(福井県敦賀市)は度重なるトラブルの発生を受け、政府が平成28年に廃炉を正式決定した。令和29(2047)年まで廃炉作業が続く。

 現在は使用済み核燃料から取り出したプルトニウムとウランを混合酸化物(MOX)燃料に加工して、原発の燃料として再利用する「プルサーマル」が主流だ。昨年7月には、原子力規制委員会が使用済み核燃料再処理工場(青森県六ケ所村)の安全対策に関し、新規制基準に適合しているとの「審査書案」を了承した。もっとも、プルサーマルは令和12年度までに全国の原発12基での導入を目指すが、現時点で稼働しているのは4基にとどまる。

 平成23年の東日本大震災と福島第1原発事故以来、国民の原発への感情は厳しい。ただ、2050年脱炭素に向け適切な電源構成を考えた場合、二酸化炭素(CO2)を排出しない原発の有効活用は欠かせない。核のごみを増やさない観点からも核燃料サイクルを回すことは不可欠で、政府には深い議論と国民に対する説明が求められる。(那須慎一)

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