国内

新首相、外交空白回避なるか 国際会議目白押し

 菅義偉(すが・よしひで)首相が自民党総裁選(29日投開票)への不出馬を表明したことは、秋の外交日程にも影響を与えている。首相は米ニューヨークで21日に始まった国連総会の一般討論演説にビデオメッセージで参加する予定だが、10月後半以降はイタリアで20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)、英国で国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)などが行われる。次の衆院選の最中に国際会議が重なる可能性も現実味を帯びてきた。

 首相は24日にワシントンで開かれる米国、オーストラリア、インドとの首脳会議に出席するため23日から訪米する。ただ、28日までの「国連総会ハイレベル・ウイーク」中の演説や関連会合は事前録画のビデオメッセージで対応する。バイデン米大統領はじめジョンソン英首相、文在寅(ムン・ジェイン)韓国大統領も現地で演説に立つ予定で、日本の存在感低下が不安視される。

 首相が総裁選不出馬を表明した3日は、ロシア極東ウラジオストクで国際会議「東方経済フォーラム」が開かれている最中だった。外務省は「招待されなかった」というものの、安倍晋三前首相は例年参加していただけに、首相の欠席は平和条約交渉の行き詰まりを改めて印象付けた。

 今後の政治日程も、外交上は障害となる可能性が高い。10月30~31日はイタリアでG20サミットが対面で開催され、11月1~2日には英国でCOP26の首脳会合が行われる見込みだ。

 新首相が出席する場合、「10月26日公示、11月7日投開票」であれば外遊と選挙期間が重なるほか、「11月2日公示、14日投開票」でも公示日は外遊中になる。外務省では「心配しても選挙日程は考慮してくれない」(幹部)との声が漏れる。

 「国民の安全と財産を守るのは国家の責任で、その責任を任期中、全うしていく。そして次の政権にしっかり継承していく」

 北朝鮮が弾道ミサイルを発射した15日、内閣が変わる端境期に外交が十分にできるか問われた加藤勝信官房長官はこう強調した。(田村龍彦)

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus