海外情勢

「大統領! 大統領!」 フランスのトランプ、大統領選前に旋風起こす

 【パリ=三井美奈】フランスでイスラム移民の脅威を訴える評論家が、来年4月の大統領選を前に旋風を起こしている。マクロン大統領のライバルで極右、国民連合のルペン党首の人気を切り崩しており、「第2の極右」として選挙への立候補が取り沙汰されている。

 この評論家はフィガロ紙の元政治記者、エリック・ゼムール氏(63)。移民流入を阻止して「偉大なフランスを取り戻せ」と訴えており、「フランスのトランプ」の別名を持つ。大統領選では出馬表明もしていないのに、「誰に投票するか」の世論調査で15%を獲得し、2位のルペン氏(16%)に肉薄した。首位はマクロン氏で24%だった。

 ゼムール氏は、旧植民地からイスラム移民が押し寄せ、キリスト教徒の白人社会を凌駕(りょうが)するという「民族入れ替え論」の信奉者。フランスでは「子供にフランス風の名前を付けさせるべき」と提案するなど、挑発的な主張が売り物で、人種差別発言で有罪判決を受けたこともある。だが、新型コロナウイルス禍で有権者に「国を守れ」という意識が広がる中、大統領に擁立する動きが出てきた。新著は9月の発行から10日余りで13万部を売り上げ、ベストセラーとなっている。

 ゼムール氏は2日、北部リールで講演会を開き、「あなた方は政府に裏切られた。移民が社会保障のカネを奪い、彼らの文化を持ち込んでフランスを退化させている。国を取り戻せ」と訴えた。フランスの産業革命、英雄ナポレオンの治世など歴史の栄光に言及し、愛国心をくすぐる話術にたけている。観客は総立ちになり、「大統領! 大統領!」と連呼。参加した会社員(28)は「彼は、本音で問題を指摘する。ルペン氏より、視点が明快だ」と話した。

 フランス大統領選は、2回投票制。2017年の前回選挙ではマクロン、ルペン両氏が決選投票に進み、今回も2人の対決が有力視されている。ゼムール氏が大統領選に立候補表明すれば、ルペン氏の支持層を奪い、決選投票の構図を変える可能性がある。最大野党の共和党は12月、公認候補を決める予定。

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