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岸田首相「聞く力」だけじゃない? マスコミ対応で積極姿勢「発信力」アピール

 岸田文雄首相が就任以降、官邸の出入りの際などに記者団の質問に答える「ぶら下がり取材」に連日対応している。安倍晋三、菅義偉(すが・よしひで)両政権では記者の要請に応じて質問に答える形が通例だったが、岸田政権では首相側が取材機会の設定を「逆提案」する場合もある。首相は自民党総裁選で「聞く力」をアピールしてきたが、積極的なマスコミ対応で「発信力」も印象付ける狙いがありそうだ。

 「長官会見終了後、退邸時にぶら下がりを受ける。午前1時10分から15分ごろになると思う」

 首都圏で最大震度5強を観測する地震が発生してから日付が変わった8日未明、首相周辺から記者団に連絡が届いた。2時間前には地震発生を受けて官邸入りした際に取材に応じたばかりで、記者団からの要請はなかったが首相側が取材を「要請」した形だった。

 マスコミ取材に対する首相側の積極姿勢は地震のときだけに限らない。7日夜も記者団から要望がないにもかかわらず、直前に行ったロシアのプーチン大統領との電話会談について取材を受けた。

 首相のぶら下がりといえば、菅政権ではあらかじめ用意された質問にしか答えなかったり、答弁内容を棒読みしたりし、「発信不足」という批判にもつながった。広報担当の首相秘書官が菅氏に気を使い、記者団の取材要請を断るケースもあった。

 これに対し、岸田政権では首相自身が認める「口下手」を丁寧な対応でカバーしようとする姿が目立つ。首相周辺からわざわざ「追加で質問があれば応じる」と提案するほか、ぶら下がりを終了する際に首相が「もういいですか?」と問いかける場面もあった。

 政府高官は「首相は発信と同時に国民の声をしっかり聞き、双方向での対話を重視している」と説明する。19日には衆院選(31日投開票)が公示され、24日には参院静岡、山口両選挙区の補欠選挙の投開票が控えており、首相は各地の選挙応援に行くことになる。今後は記者会見やぶら下がりだけではなく、街頭演説での「発信力」が問われることになる。

(児玉佳子)

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