海外情勢

「中国の圧力に屈さない」台湾で双十節記念式典、蔡氏が演説

 【台北=矢板明夫】台湾の蔡英文総統は10日、台北の総統府前で行われた建国記念日に当たる「双十節」の式典で演説し、中国による軍事的脅威の増大を踏まえ、自己防衛能力を強化し、自由と民主主義を守る決意を改めて表明した。

 蔡氏は最近の国際情勢について、「権威主義の対外拡張が続き、自由と民主主義の価値観を有する国々は警戒感を強めている」として、「台湾は今、民主主義を守る戦いの先頭に立っている」との認識を示した。

 その上で、「中国は南シナ、東シナ海などで国際秩序を変えようとしているほか、軍用機による台湾の南西空域での頻繁な活動は私たちの安全を脅かしている」と指摘した。

 中国の脅威への対応について、蔡氏は「国防をさらに充実させ、自己防衛の決意を示す」と強調。「私たちは中国により設定された道を歩まない。そこには自由も民主主義もなければ、2300万人の台湾人の主権もないからだ」と語気を強めた。

 9日には、中国の習近平国家主席が北京で開かれた辛亥革命110年記念大会で演説。台湾に関し「祖国の完全統一という歴史的任務を必ず実現しなければならないし、必ず実現できる」と述べ、統一攻勢の強化を示唆していた。

 蔡氏は習氏の演説を念頭に、「台湾人民は圧力に屈することは絶対にない」と改めて強調。日米、リトアニアなどからの新型コロナウイルスワクチンの供与に感謝を示した上で、今後もさらなる国際貢献に取り組み、世界で「善の循環」を広げる努力を続けると約束した。

 双十節を祝う式典は毎年恒例の最重要行事の一つだが、今年はコロナ禍のため、例年より規模を縮小して行われた。

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