国内

党首討論会 岸田首相、改憲に「不退転の決意」

 与野党9党首は18日、衆院選(19日公示、31日投開票)を前に、日本記者クラブ主催の討論会に臨み、憲法改正や新型コロナウイルス対策、安全保障政策などについて論戦を繰り広げた。

 憲法改正

 憲法改正をめぐっては岸田文雄首相(自民党総裁)が不退転の決意を示し、日本維新の会の松井一郎代表も前向きな意向を示した。

 首相は「不退転の決意があるのか」と問われ、「もちろん」と明言。「自民党の改憲4項目を含めて憲法改正が身近で現代的な問題であるということをしっかり訴えていく」と述べた。また、「緊急事態条項の新設など4項目は現実的で大変重要な取り組みだと認識している。憲法改正を実現していくべく努力をしていきたい」と語る場面もあった。

 一方、松井氏は「(自民が野党に)配慮しすぎて改憲原案を作れなかったのが非常に残念だ。各党の改正案を審議し、国民投票を実施していただきたい」と述べた。

 ただ、維新を除く野党は前向きとはいえず、立憲民主党は政権公約に憲法改正を盛り込んでいない。

 コロナ対策

 新型コロナウイルス対策に関し、病床確保や司令塔機能など具体論を述べたのは首相と立民の枝野幸男代表にとどまり、議論は深まらなかった。

 首相は「病床確保とあわせて大型の経済対策を用意する」と強調した。党総裁選で掲げた司令塔機能を担う「健康危機管理庁」創設に関しては「取り下げていない。危機管理の在り方を総点検する上で議論を進める。人流抑制や病床確保などについて法改正なども念頭に置く」と語った。

 枝野氏は国による病床確保に加えPCR検査体制の拡充、すべての入国者に対する10日間の国費での事実上の隔離といった水際対策強化を主張。司令塔機能については「首相、官房長官のもとに各大臣という機能を明確にする」と述べた。

 共産党の志位和夫委員長は「コロナ失政で多くの犠牲を出した」と政権を批判した。

 安全保障

 首相は敵基地攻撃能力の保有について「選択肢の一つとして考える価値はある」との認識を重ねて示した。「極超音速ミサイルなど新しい技術が出てきている中で、従来のミサイル防衛態勢で十分かは絶えず見直さなければならない課題だ」と強調した。

 対国内総生産(GDP)の1%以内におおむね抑えられてきた防衛費について自民党が「GDP比2%以上も念頭に増額を目指す」と公約で掲げたことに、公明党は「国民の理解を得られない」(山口那津男代表)との慎重姿勢を示す。首相は「2%を否定しないが、数字ありきではない」と説明。ミサイル防衛や経済安全保障、宇宙・サイバーなど新たな課題に対応するための予算を徹底的に議論する考えを示した。

 首相は、立民が自衛隊に否定的な共産党と閣外協力することについて「有事が生じた場合にうまく調整が進むのか」と疑問を投げかけた。立民の枝野氏は「共産党などと事前に協議をしなければ物事を進められない(政権)運営をするつもりはない」と応じた。

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