海外情勢

韓国、今月末にもTPP申請の是非判断 中国を意識

 【ソウル=時吉達也】韓国政府は早ければ今月末にも、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への加入申請の是非を判断する方針だ。中国と歩調を合わせ検討を加速させた形だが、議長国日本との関係や国内政局がからみ、課題は山積する。

 「10月末、11月初めには決定しなければならない」。韓国の洪(ホン)楠(ナム)基(ギ)経済副首相兼企画財政相は14日、訪問先の米ワシントンで「企画財政相としては加入申請しなければならないのではないか、という立場だ」と強調した。

 当初は日本とともに米国が主導したTPPに対し、韓国は「対中包囲網」を警戒する中国の牽(けん)制(せい)を受け参加に及び腰だった。しかし、習近平国家主席が昨年11月に参加への意欲を明らかにすると、文(ムン)在(ジェ)寅(イン)大統領も翌12月、「参加検討」に初めて言及。文政権は多国間協定を通じ米中貿易摩擦の影響回避を図るほか、米韓自由貿易協定(FTA)を主導した盧(ノ)武(ム)鉉(ヒョン)元大統領に続き経済政策での「レガシー」を残す狙いもある。

 一方、TPPには食品輸入を不当制限しないよう求める条文があり、日本は韓国加入に際し、福島第1原発事故に伴う日本産食品の輸入規制の解除を要求。韓国側は、日本の議長国任期がまもなく終わることから、自国に有利な交渉環境の整備を狙う。

 農業分野などでTPPに対し国内の反発が高まれば、来春の大統領選にも影響を及ぼす。専門家らは「選挙を考慮して政治家が利益団体にすり寄れば、TPP加入は遠のくだろう」と指摘する。

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