海外情勢

スーダン軍クーデター 抗議の147人死傷

 【カイロ=佐藤貴生】アフリカ北東部スーダンで起きた軍事クーデターをめぐり、首都ハルツームを含む国内各地では抗議する市民に軍部隊が発砲するなどして26日までに少なくとも7人が死亡、140人が負傷した。軍と民主派が2023年までの民政移管を目指した共同統治は2年余で瓦解し、軍の行動に国際社会の非難が高まっている。

 ロイター通信は26日、ハルツームでは道路や橋が軍に封鎖されたほか、銀行や商店が閉店し、電話も通じない状態だと伝えた。

 軍は25日、暫定政権を率いていた文民のハムドク首相や閣僚数人を拘束してテレビ局を占拠、インターネットも遮断した。陸軍出身で軍民共同の統治評議会トップを務めてきたブルハン議長は同日、「民政移管実現に向けた軍の関与」の必要性を強調し、軍の行動を正当化。統治評議会と暫定政権を解体するとし、全土に非常事態を宣言した。

 暫定政権側は、現体制下で非常事態を宣言する権利は首相だけに与えられており、「軍の行動は犯罪だ」と非難して国民に決起を呼び掛けている。

 軍民共同統治は、約30年間続いたバシル独裁政権が19年4月に反政府デモなどで崩壊したのを受け、同年8月に始動した。しかし、軍は西部ダルフールの紛争をめぐり、戦争犯罪などで国際刑事裁判所(ICC)が逮捕状を出したバシル氏の身柄引き渡しを拒み、民主派と対立。軍は民主派が求めた組織改革にも抵抗し、民政移管プロセスは停滞していた。

 1956年の独立以来、大半の期間をバシル氏ら軍出身者が統治してきたスーダンでは、軍が農業やインフラ事業などを手広く展開している。民政移管が進めば収入源を断たれかねない、とする軍の危機感がクーデターの背景にあるとする分析もある。

 バシル政権の崩壊当時から経済状況はほとんど改善されておらず、国民は困窮生活を強いられている。昨年には隣国エチオピア国内で起きた軍事衝突で数万人規模の難民がスーダンに避難した。クーデターを非難する諸外国が支援を手控える事態となれば、混乱の拡大は避けられない。

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