株価・外為

東証の株取引30分延長へ 24年度実施、70年ぶり

 日本取引所グループ(JPX)は27日、東京証券取引所の現物株の取引時間を30分延長する方針を発表した。令和6年度後半の実施予定で、取引終了時間を現在の午後3時から午後3時半に繰り下げる。終了時間の繰り下げは昭和29年以来、約70年ぶり。システム障害が起きた場合でも当日中の復旧に向けた作業時間をその分長く確保することで、売買が終日停止するリスクを減らす狙いがある。

 現在の東証の株取引時間は午前9時から午後3時までで、1時間の昼休みを除くと計5時間となっている。日本における取引時間は欧米やアジア各国と比べても短く、競争力や魅力を国際的にどう高めていくか課題だった。延長すれば投資家は取引機会が増えるため、売買の活性化につながると期待される。

 取引時間の延長に伴い、各銘柄の終値を基準価格として算出する投資信託などの業務の見直しが必要になる。また、東証に上場する企業が午後3時の取引終了後に実施していた決算発表や情報開示、会見なども後ろ倒しになるため、アナリストや報道機関にも影響が及びそうだ。

 今後は、金融庁などと連携し、市場関係者への聞き取りや調整を進めて具体的な詳細を詰める。4年度にかけてシステム更新に関わる接続仕様の開示を行い、6年度前半にシステムテストや訓練などを行う予定。

 取引時間延長の背景には、昨年10月に東証で起きた大規模なシステム障害で終日売買が停止した問題がある。障害対応の強化を目指す東証は今年5月、取引時間延長などを検討するワーキンググループを設置し、証券会社などを交えて議論を進めてきた。(西村利也)

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