海外情勢

米大統領「中国は台湾に威圧的」 東アジアサミット、米中対立鮮明

 【シンガポール=森浩】日米中韓や東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国など18カ国が参加した東アジアサミット(EAS)は米中対立の激化が改めて鮮明となった。米国は中国の台湾への行動を「威圧的」と批判し、中国も域外国の南シナ海情勢への介入に不快感を表明。米中の溝は深く、30日からイタリアで始まる20カ国・地域(G20)首脳会議でも対立が表面化しそうだ。

 27日夜の東アジアサミットには、日米中韓や東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国など18カ国が参加した。バイデン米大統領は米大統領としては5年ぶりのEAS参加となり、バイデン政権の「アジア重視」の姿勢を印象付けた。

 ロイター通信によると、バイデン氏は会議で中国の台湾に対する行動は威圧的で、「地域の平和と安定を脅かす」と主張した。その上で、米国の台湾への関与は「揺るがない」とも強調。改めて“台湾シフト”を強く打ち出した。

 またバイデン氏は、中国が軍事拠点化を進める南シナ海を念頭に「国際的な規則に基づく秩序への脅威」に懸念を示し、インド太平洋地域への「永続的な関与」を表明した。

 一方、中国の李克強首相は会議で南シナ海について「中国とASEANの努力によって安定は保たれている。地域の国々が行ってきた努力は尊重されるべきだ」と発言。米欧諸国の艦隊派遣や、米国による「航行の自由作戦」などに反発した。

 李氏は「南シナ海は共通の故郷である」とも述べ、ASEANと紛争を回避するための「行動規範」の早期策定に意欲を見せた。

 激化する米中対立についてASEAN加盟国は一連の会議で懸念を表明。米中の覇権争いに巻き込まれることを警戒している。

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