疾風勁草

有権者は賢明だった 通用しなかった「朝三暮四」的選挙活動 (2/2ページ)

高井康行
高井康行

 専制主義と民主主義が対峙する時代

 いずれにしても、日本は、今回選ばれた衆議院議員と来年の参議院選挙で選ばれるであろう参議院議員によって、今後さらに激化していくことが確実な台湾海峡の緊張に対処していくことになる。

 アメリカでは、中華人民共和国を抑止するため、具体的には同国のA2AD(接近阻止・領域拒否)戦略に対抗するため、第一列島線に中距離ミサイルを配置することが計画されており、早晩、日本にもその要請がなされるであろう。

 かつてのソ連を代表とする共産主義とアメリカを代表とする自由主義とが対峙(たいじ)した時代は、西ドイツがその最前線だった。中華人民共和国が代表する専制主義と米欧日が代表する民主主義が対峙する今の時代においては、好むと好まざるとにかかわらず、第一列島線に位置する日本がその最前線にならざるを得ない。

 中距離ミサイルの日本領土内への配備が具体化すれば、国論は大きく割れるだろう。両論を丁寧に聞き、丁寧に説明することはもちろん重要だが、この問題は、丁寧に聞き、丁寧に説明すれば、解決できるようなものではない。

 激しい反対運動にもたじろぐことなく、日米安全保障条約を改定し今日の礎を築いた岸信介首相(当時)のような胆力と時代を洞察する力をもった人物が、時の首相を務めていることを願うばかりである。

高井康行(たかい・やすゆき)
高井康行(たかい・やすゆき) 弁護士、元東京地検特捜部検事
1947年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒業後、1972年に検事任官。福岡地検刑事部長、東京地検刑事部副部長、横浜地検特別刑事部長などを歴任した。岐阜地検時代には岐阜県庁汚職事件を、東京地検特捜部時代はリクルート事件などを捜査。福岡地検刑事部長時代、被害者通知制度を始める。1997年に退官し、弁護士登録。政府の有識者会議「裁判員制度・刑事検討会」委員を務めたほか、内閣府「支援のための連携に関する検討会」の構成員や日本弁護士連合会の犯罪被害者支援委員会委員長などを務めた。テレビや新聞でも識者として数多くの見解を寄せている。

【疾風勁草】刑事司法の第一人者として知られる元東京地検特捜部検事で弁護士の高井康行さんが世相を斬るコラムです。「疾風勁草」には、疾風のような厳しい苦難にあって初めて、丈夫な草が見分けられるという意味があります。アーカイブはこちらをご覧ください。

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