国内

<独自>3割増の入院可能に 治療薬最大20億円支援 全体像判明

 政府の新型コロナウイルス感染症対策の全体像の原案が10日、分かった。12日の対策本部で決定する。病床が逼迫(ひっぱく)(ひっぱく)した今夏の第5波の反省から、感染力が2倍になっても対応できるように、今夏と比べ約3割(9千人)増の患者が入院できる体制を、今月末までに整備する。国産の経口治療薬(飲み薬)の開発費用として、1つの治療薬当たり最大約20億円を支援し、経口薬の年内の実用化を目指すと明記した。ワクチンに関しては、3回目の職域接種を行う方針も示した。

 原案によると、今夏のピーク時は最大約2万8千人の入院が必要となった。ワクチン接種の進展などで、感染力が2倍になっても、病床は約3割増で対応できると判断した。

 合わせて入院調整中の人や、重症化していないものの基礎疾患などのリスクがある人が療養できるようにするため、臨時の医療施設や入院待機施設について、今夏に比べて約3倍弱の約3万2千人が入所できる体制を構築する。第5波で自宅療養中に死亡するケースが相次いだことを踏まえた措置といえる。

 このほか、家庭内の感染のリスクに対応するため、宿泊療養施設の居室を約25%(約1万2千室)増やす。「すぐに受け入れ可能」と申告しながら、ほとんど受け入れていない、「幽霊病床」も問題になったことを受け、病床使用率について8割以上を確保する。8割確保できた場合、約5千床増えるという。

 3回目のワクチン接種については、先行接種の対象となった医療従事者は12月、高齢者は来年1月から開始。職域での追加接種は来年3月をめどに始める方針だ。都道府県や市区町村で体制を整備し、全額国費を基本とする。

 第5波では病床の使用状況について情報共有が不十分だったとの指摘がある。このため、レセプト(診療報酬明細書)データを活用し、ITを通じた医療体制の稼働状況の徹底的な「見える化」を図る。

 感染の有無を調べる検査については、感染拡大時は都道府県の判断で、無症状者でも無料で受けられるよう支援する。

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