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「マイナポイント配布は経済対策にならない」それでも政府が“バラマキ”を続ける理由 (2/2ページ)

 ■政府の説明は「便利です」ばかり

 まして、物理的なカードである必要が本当にあるのか、はまともに議論されていない。民間のポイントカードは今やカード型ではなく、スマホの中にアプリとして入れるものが主流になりつつある。財布の中にカードがいっぱいで、新しいカードはいらない、という消費者が増えていることも背景にある。

 民間のクレジットカード会社が、新たにカードを作った場合、5000円分のポイントを付与する、というのはよくあるサービスだ。5000円のインセンティブを与えても、その分、いずれ利用してもらう中から回収できるからだ。では、マイナンバーカードの普及に2万円を払って、政府はどうやって回収しようとしているのか。

 皆さんの所得が完全把握できますので、捕捉率が上がり税収が増えるんです。そう説明してくれれば理解できる。ところが、政府の説明は「便利です」と言うばかりで、まともに本当の狙いを明かさない。もし「カードを普及させる」ということだけが、政策目的になっているのなら、官僚が自分たちの失敗を認めたくないために、「経済対策」に名を借りてカード普及を進めようとしているということなのではないか。

 ■「Go To」のほうが経済対策としては効果があった

 ポイントを配ることで消費を喚起するというのも無理な話だ。経済対策は前述の通り乗数効果が生まれなければ意味がない。2万円分のポイントを配って、2万円しか使われなかったら、乗数効果は1倍である。ポイントを配るためには当然、さまざまな手数料や官僚の人件費などのコストがかかっているわけで、財政の実質負担から見れば、乗数効果は1倍を下回ることになる。

 バラマキだと批判を浴びたGo To トラベルキャンペーンの方が、実際に2万円の助成で4万円以上のところに宿泊するわけだから、個人の懐から2万円以上が支出されていた。助成率の大きさや金持ちばかりが得をしたという批判は別として、経済対策としてはそれなりに効果がある政策だったと言える。それに比べるとマイナポイントはまさにバラマキそのものと言えるだろう。

 ■18歳以下の子供に対する給付金も「目的」が不明

 他にも政策目的が曖昧な「経済対策」が目白押しだ。例えば18歳以下の子供に対する給付金。全員一律に配るのは不公平だとして上限960万円の年収制限を設けたが、またしても世帯主ひとりの年収なのか世帯年収なのかで不公平論が燃え盛っている。ひとり親で年収が980万円の家の子供は支給されないが、両親がそれぞれ950万円もらっている世帯は合算で超えていても支給されるではないか、というのである。また収入がなくても資産がある人は山ほどいる、という話になっている。

 この給付の目的は何なのか。新型コロナで打撃を受けた人の救済なのか、経済対策なのか。はたまた少子化対策なのか。少子化対策で子供を増やしたいというのであれば、年収制限など付ける必要はなくすべての子供に一律に配るべきだろう。一方、弱者救済というのなら、世帯年収や資産状況を調べないと不公平になる。

 昨今の「対策」は政策目的が不明確で、何でもばらまけば良い、カネを配れば経済対策になる、と思われているフシがある。いわゆる「国の借金」は1200兆円を突破し、GDPの2年分以上になった。そんなことはお構いなしに、何しろどんどん支出を膨らませるのが政治の役割だと言わんばかりに予算支出を続けている。政府が使うカネは本当に効率的なのか、政策目的の達成のために必須なのか、それを厳しく検証していくのが政治家の本来の仕事だろう。

 

 磯山 友幸(いそやま・ともゆき)

 経済ジャーナリスト

 千葉商科大学教授。1962年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。日本経済新聞で証券部記者、同部次長、チューリヒ支局長、フランクフルト支局長、「日経ビジネス」副編集長・編集委員などを務め、2011年に退社、独立。著書に『国際会計基準戦争 完結編』(日経BP社)、共著に『株主の反乱』(日本経済新聞社)などがある。

 

 (経済ジャーナリスト 磯山 友幸)(PRESIDENT Online)

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