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“巨人”参戦で風雲急のタブレット市場 日本勢に対抗手段はあるのか

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“巨人”参戦で風雲急のタブレット市場 日本勢に対抗手段はあるのか

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 米グーグルとマイクロソフト(MS)というIT業界の“巨人”が先月、相次いでタブレット端末市場への参入を発表したことで、日本メーカーが苦境に陥るとの見方が出ている。両社の日本販売は未定だが、参入してくれば将来的にはパソコン市場も脅かすのは確実なためだ。日本のPCメーカーも昨年からタブレット端末を販売しているが、圧倒的な強さを誇る米アップル「iPad(アイパッド)」に及ばない。日本勢には今のところ対抗手段がみえず、戦略構築が急務だ。

アイパッドの半額

 「広がりつつあるタブレット市場をさらに盛り上げてくれるだろう」。NECパーソナルコンピュータの高塚栄社長は、MSとグーグルのタブレット参入について静観を装う。日本での発売も決まっていないためだが、危機感を高めていることは間違いない。

 グーグルとMSが狙うのは、自社サービスやOS(基本ソフト)の利用拡大だ。グーグルが月内に発売する「ネクサス7」は、自社OSのアンドロイド最新版を搭載。映画やゲームなどのコンテンツ購入や、ネット検索、動画など自社サービスを利用しやすくした。米国での価格は199ドル(約1万6000円)からと、アイパッド(499ドルから)の半額以下のため、一気に人気機種となる可能性もある。

 一方、MSが年内に投入するタブレット「サーフェス」は、タッチパネル利用を前提とした次世代OS「ウィンドウズ8」を搭載。PC向けに開発したOSをタブレットでも利用できるようにし、ハードとOS両面の販売拡大を期待する。

 グーグルのコンテンツサービスに対抗できる国内の有力候補とされるのが、ソニーだ。音楽や映画、ゲームなどグループで豊富なコンテンツを持つため。実際、ソニーは今月3日、定額制の音楽配信サービス「ミュージック・アンリミテッド」を国内で開始した。主要音楽会社から許諾を受けた1000万以上の楽曲を再生できるサービスで、PCやゲーム機だけでなく、タブレット端末やスマートフォン(高機能携帯電話)など多くの機器に対応する。今後もサービス内容を拡充してくるとみられるが、このサービスは他社製機器でも利用可能で、ソニー製タブレットの販売を押し上げる効果は期待薄だ。

 富士通やNECのタブレットはそれぞれ、高速通信サービスやセキュリティー面の強化などを売り物としているが、販売はこれまで法人向けが中心。法人需要に強いMSが出てくれば、席巻されないとも限らない。

ブランド力不足

 ソニーやNEC、富士通などはアップルに対抗し、昨年に相次いでタブレット端末を発売したが、MM総研の横田英明アナリストは「アップルと比べブランド力の不足は否めない」と指摘する。

 さらに懸念されるのが、本格的なタブレット時代を迎えれば影響はPC市場にも及ぶ点だ。米調査会社ディスプレイサーチによると、モバイルPCの世界出荷台数は、2012年の3億4700万台から17年には8億900万台に成長、このうちタブレットが4億1600万台を占め、ノートPCを上回る見込みだ。

 ただ、現時点で日本勢にタブレット端末での具体的な対抗策はみえてこない。MM総研の横田アナリストは「拡大する市場には可能性も眠っている」と挽回の余地はあるとした上で、「勝ち残るには差別化に力を入れることが重要だ」と話す。(山沢義徳)

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