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「なりすましメール」で誰もが当事者に スマホでもウイルス対策
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今や日常生活に欠かせない電子メール。簡単で便利なコミュニケーションツールである一方、詐欺やなりすましのメールを受け取ったり、知らないうちに迷惑メールの送信者になっていたりするケースも少なくない。トラブルを避けるための対策はあるのだろうか。(平沢裕子)
「Sad News…(悲しいお知らせ)」
6月下旬、川崎市衛生研究所の岡部信彦所長のメールアドレスで記者宛てに、こんなタイトルのメールが届いた。本文も全て英語。内容は「今、家族とスペインにいるが、強盗に襲われ、お金もクレジットカードも携帯電話も盗まれた。帰りの飛行機に乗るためのお金を貸してほしい。2650ドルが必要。このメールに返事して」。
岡部所長のアドレスをかたった「なりすましメール」。このアドレスで岡部所長とメールのやりとりをしていた人たちに同様のメールが送られたようで、知人の一人が返信したところ、「この住所(海外)に小切手を送ってほしい」と返事が来たという。怪しいと思ったため、知人は小切手を送らず金銭的な被害はなかったが、メールを使った「オレオレ詐欺」だった可能性もある。
岡部所長は「多くの人に迷惑をかけてしまった。でも、なぜ私のアドレスで私の知人にメールが送られたのか。私のパソコンはウイルス感染していないし、変なメールを受け取った覚えもないのだが…」と首をかしげる。
日本データ通信協会(東京都豊島区)迷惑メール相談センターの飯沼博明担当部長は「知人のアドレスなどの情報はメール送信時に途中で抜かれた可能性がある。パソコンのメールはメールソフトで送信者アドレスを自由に設定できるため、誰でも簡単になりすましメールを送ることができる」と、メールを利用する誰もが当事者になりうる可能性を示唆する。
なりすましなどの迷惑メールが大量に届くことは以前からあり、特にメール受信にお金がかかる携帯電話では深刻な問題だった。このため、携帯会社では「なりすまし拒否」サービスを導入、利用者が設定すればなりすましメールをブロックできるようになっている。
パソコンのメールについても、メールサーバーを管理するプロバイダーが取り組みを始めている。しかし、実際になりすましメールをブロックするサービスを導入しているのはまだ2、3割程度。このため、なりすましメールを完全に防ぐ方法はまだないのが現状だ。
とはいえ、メール利用者が何もしなくてもいいわけではない。可能な限り被害を避けるためにまず心掛けたいのは、自分のメールアドレスを大切にすること。迷惑メールの送信者は、メールを送信するためのアドレスを集めている。懸賞サイトやゲームサイトなどサービスの無償提供を装ってアドレスを入力させ、収集するケースは多い。こうしたサイトへの登録の際は十分な注意が必要だ。
また、スマートフォン(高機能携帯電話)のアプリケーションソフトの中には、利用者のアドレス情報を抜き取るようなウイルスが仕込まれているものもある。ウイルス対策ソフトで防げることも多いので、パソコンと同様のセキュリティー対策をすることが大切だ。
飯沼担当部長は「リスクを減らすために複数のアドレスを使い分ける方法もある。ただ、対策を取っても全てを防げるわけではない。迷惑メールが来たときは、『開かない』『クリックしない』『入力しない』の基本を守り、第2、第3のトラブルに巻き込まれないようにしてほしい」とアドバイスする。