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ゆうちょ銀、住宅ローン虎視眈々 民間銀行側「大きな脅威…勝負にならぬ」

ニュースカテゴリ:企業の金融

ゆうちょ銀、住宅ローン虎視眈々 民間銀行側「大きな脅威…勝負にならぬ」

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 日本郵政傘下のゆうちょ銀行が、住宅ローン事業への参入を虎視眈々(たんたん)と狙っている。改正郵政民営化法が4月に成立したことを受け、新規事業への制約が外れる見通しとなり、参入の是非の判断に深くかかわる政府の郵政民営化委員会も、メンバー交代に伴って前向きな姿勢に転換。年内にも申請し、2013年度にもローン事業に乗り出す可能性が高まってきた。ただ、ゆうちょ銀は国内最大の運用資金を持つずぬけた存在。民間の金融機関は「民業圧迫だ」と反発しており、曲折も予想される。

 委員会が前向き転換

 「住宅ローンや法人貸し付けなどへの事業展開により、収益力の強化が必要」。日本郵政は11日に開かれた郵政民営化委員会の会合に提出した資料にこう明記し、ゆうちょ銀のローン事業への参入方針を明確にした。さらに、08年度から始めたスルガ銀行の住宅ローンの代理販売が、11年度までの累計で2240億円に上ったことをアピール。「(参入の)準備は整っている」と強調した。

 4月末の会見で日本郵政の斎藤次郎社長は「新規事業について申し上げる段階にない」と言及を避けたが、2カ月余りで攻めの姿勢に変わったのは、取り巻く環境の変化が大きい。

 「ゆうちょ銀に追い風が吹き始めた」。メガバンク幹部がこう指摘する追い風の一つは、郵政民営化委員会の委員が3月末で任期を迎え、メンバー5人が一新されたことだ。業務拡大の認可に際し、委員会は政府に意見を示すことが義務づけられ、参入の是非を大きく左右する。

 前委員長で経済評論家の田中直毅氏は、政府が保有する日本郵政株の売却を09年に民主党政権が凍結し、政府の関与が残ったことを理由に、新規事業を認めない姿勢を堅持してきた。

 ただ、株売却の凍結を定めた法律は改正法の成立とともに廃止され、後任の西室泰三委員長(東芝相談役)は5月9日の会見で「田中氏の考えを踏襲するのではなく、公正・中立的な事実に基づいた判断をする」と明言した。委員会は、意見を示す際の判断基準となる「指針」を9月までに作成。日本郵政の申請があれば、指針に基づいてゴーサインを出す公算が大きい。

 さらに改正法によって、日本郵政が100%を保有するゆうちょ銀の株式を半分以上、売却した後は、届け出だけで新規事業を始められるようになったことも、大きな追い風の一つだ。

 「勝負にならない」

 利ざやが大きい住宅ローンへの参入は「ゆうちょ銀の悲願」(銀行関係者)。ゆうちょ銀は資金運用の9割を国債などの有価証券が占めており、「他行より小さい利ざやが、近年の金利低下でさらに縮小する恐れがある」(日本郵政)。実際、10年度の利ざやは全国の銀行の平均1.19%に対し、ゆうちょ銀は0.85%にとどまっている。

 これに対し、民間銀行側は「非常に大きな脅威」(全国銀行協会の佐藤康博会長)と警戒する。11年度末のゆうちょ銀の貯金残高は約175兆円で、メガバンク最大手の三菱東京UFJ銀行の預金量約106兆円を上回る。ましてや地方銀行の預金量は数兆円程度にすぎず、「ゆうちょ銀とは勝負にならない」(外資系アナリスト)。

 「事実上の政府保証」対抗戦略が急務

 さらに、政府が将来も日本郵政株の3分の1超を保有し「いざとなれば国が守ってくれる『事実上の政府保証』がある」との安心感から、ゆうちょ銀が有利になる可能性もあり、「競争条件がフェアではない」(農協関係者)との不満も募る。

 こうした懸念に対応するため、日本郵政は大手行が力を入れていない高齢者や自営業者、女性向けの商品をベースに展開する方針を掲げている。ただ、高齢者などのローン需要は大きくない。結果的に、ゆうちょ銀は需要の大きい20代後半から30代を取り込む必要性に迫られるとの見方は強い。

 そうなれば「銀行間の低金利競争を激化させ、地域金融機関の経営に影響が出かねない」(信金中金地域・中小企業研究所の品田雄志主任研究員)。

 ゆうちょ銀のローンの審査能力を疑問視する向きもある中、参入に向けた準備は着々と進んでおり、民間の金融機関はゆうちょ銀の「脅威」に対抗する戦略を、早急に用意する必要に迫られそうだ。(山口暢彦)

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