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ソフトバンク、イー・アクセスの出資見直し 株式保有率引き下げ検討

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ソフトバンク、イー・アクセスの出資見直し 株式保有率引き下げ検討

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イー・アクセス買収の記者会見で、握手を交わすソフトバンクの孫正義社長(左)とイー・アクセスの千本倖生会長=1日、都内のホテル  ソフトバンクは、来年2月末までに完全子会社化するとしていた国内携帯電話4位のイー・アクセスの株式保有率を引き下げる方向で検討していることが30日、分かった。3分の1未満も視野に入れている。

 ソフトバンクがイー・アクセスの携帯電話向け周波数を事実上取得することになるが、イー・アクを子会社化した場合、総務省がイー・アクに割り当てた周波数の利用計画の達成を危惧していることに対応。イー・アクへの影響力を弱め、当初の基地局開設計画の実施に配慮する。イー・アクの基地局を高速データ通信サービス「LTE」に活用しようと考えていたソフトバンクは計画見直しを迫られることになる。

 総務省の周波数再配分政策により、イー・アクは2009年6月に1.7ギガヘルツ帯、今年6月に700メガヘルツ帯と2つの高速データ通信用周波数を取得している。1.7ギガヘルツ帯は昨秋からサービスを提供。700メガヘルツ帯は15年9月からサービスを開始し、その5年後の20年に1万4000局(人口カバー率99.2%)を計画している。

 総務省は周波数配分方針に基づいて、イー・アクが策定した開設計画の完全履行を求めており、ソフトバンクの完全子会社となることで計画達成が困難になることを懸念。ソフトバンクから合併後の事業展開についてヒアリング中だ。

 今回の出資比率引き下げ方針により、ソフトバンクは株式交換によってイー・アクを完全子会社にした後、出資企業を募って保有比率を引き下げる見通し。「出資比率にはこだわらない」(ソフトバンク関係者)方針で、出資比率は3分の1未満に抑えて連結対象外とするほか、50%以下とする案なども検討。近く総務省と調整する。

 ただ、総務省によると周波数割当時の開設計画は5年をめどに達成度をみるため、それ以降は事業計画の変更余地は大きく、再び完全子会社化する可能性もある。

 ソフトバンクはイー・アクを1800億円で買収して完全子会社化し、「今年度末にはイー・アクの基地局1万局と合わせてLTEの基地局は3万局になる」(孫正義社長)と説明。米アップルのスマートフォン(高機能携帯電話)「アイフォーン5」販売で競合するKDDIへの対抗心をむき出しにしていた。

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