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東京ガス、電力強化にかじ “東電の空白”埋める有力事業者として浮上

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東京ガス、電力強化にかじ “東電の空白”埋める有力事業者として浮上

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東京電力の老朽火力発電所  東京電力の経営再建に絡み、発送電分離など自由化の拡大が見込まれる国内電力市場で、資金難の東電の力の“空白”を埋める有力な電力事業者として東京ガスが浮上している。

 東ガスは、東電の老朽化した火力発電所の更新事業や、同社が13日に説明会を開く新設火力の入札への参加を検討するなど、原発停止に伴う液化天然ガス(LNG)火力の能力増強ニーズを取り込み、本格的に電力事業の拡大にかじを切る構えだ。

 設備更新に名乗り

 「競争市場の整備に貢献したい。自らマーケットで販売していくための電力を持つべきだ」

 10月から東電が募集を始めた火力発電事業のパートナーに名乗りを上げたことについて、東ガスの岡本毅社長はこう話し、自前電力の増強に強い意欲を示した。

 岡本社長が念頭に置くのは、東京湾岸の袖ケ浦火力発電所(千葉県袖ケ浦市)や南横浜火力発電所(横浜市)の更新事業だ。両発電所は、東ガスのLNG基地から燃料を供給するなど関係が深い。パートナーとして設備更新に出資参加すれば、応分の電力供給の権益を手に入れることができる。

 さらに、東電は原発停止で2019年以降新たに必要となる計260万キロワットの電力を外部の火力発電事業者から調達するため、来年2月上旬にも入札を実施する予定。東ガスはこれにも応札を検討しており、単独あるいは東電との協業で新設発電所の運営が実現する可能性がある。

 東ガスは、現在約200万キロワットの発電能力を、20年までに最大500万キロワットに高める長期経営ビジョンを打ち出しており、LNGの燃料供給者としての強みも生かして電力事業を収益の柱に育てることを狙っている。

 同社は、75%を出資し昭和シェル石油と共同で発電事業子会社の「扇島パワー」(横浜市)を運営しているが、これまでLNG火力の拡大には慎重だった。

 地球温暖化問題の関心が高まるなか、日本の中長期のエネルギー政策は、主要な電源に二酸化炭素(CO2)を発電時にほとんど排出しない原発の増強を位置付けていたからだ。

 震災後は状況一変

 天然ガスは石油よりも安価で、石炭よりも環境性に優れている。だが発電コストとCO2の削減効果では原発に太刀打ちできない。

 さらに、東電の火力事業は東ガスにとって最大の販売先だ。「電力事業で真っ向勝負を挑んで逆襲されたら、経営への影響は計り知れない」(幹部)との恐怖感もあった。

 しかし、東日本大震災後は景色が一変した。原発停止に伴う電力不足の懸念から、東ガスはむしろ扇島パワーなどの増強を東電から水面下で求められる立場に。資金難にあえぐ東電は、5月に政府の認可を受けた総合特別事業計画でも他社との提携強化を打ち出し、東ガスには電力事業の拡大をためらう理由がなくなった。

 また、政府は「新電力」の参入を促し電力会社の地域独占を崩すため、電力システム改革で小売りの全面自由化などを検討している。東ガスにとっては事業環境がさらに優位になる可能性が高く、市場が活性化すれば料金の値下げや新しいサービスに結びつく期待もある。

 このため、東電案件への参画に先行し、環境影響評価を済ませながら建設を見送っていた扇島パワーの火力設備の増設計画実施を決めるなど、すでに自力による事業拡大に乗り出している。

 もっとも、東ガスによる電力事業の拡大は、順風満帆とはいかない。

 東電の古い経営体質 事業加速に壁

 東電の「自前主義」は、高コスト体質の象徴として激しい批判を浴びながらも根強く残っている。火力電源の競争入札は自前脱却の一歩だが、仕事を失う火力部門の反発は必至。都市ガス大手幹部も「東ガスは過去にも袖ケ浦の更新などを打診したが、東電は費用負担を求めるばかりで詳細な情報を出さなかったようだ」と指摘する。

 東電の広瀬直己社長は「せっかく募集して、いちいち難癖をつけていたら意味がない。万が一そういう動きがあったらしっかり指導する」と話すが、エネルギー業界内には「東電は経営再建後には提携を解消する気では」(石油元売り幹部)との疑心暗鬼も根強い。

 「火力発電所は数千億円の資金を20年以上かけて回収する。原発が動くなら電気代が下がりとても回収できない」(東ガス幹部)と、原発再稼働をめぐる政府対応のリスクも大きい。

 東電の古い経営体質と、腰の定まらない政府。電力事業を加速したい東ガスの前に立ちはだかるハードルは高い。(田辺裕晶)

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