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九電経営は火の車…瀕死の状態 脱原発で疲弊する九州経済
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民主党による「脱原発」のコストが国民生活に跳ね返ってきた。東京電力、関西電力に続き九州電力も電気料金値上げを政府に申請、来年4月にも実施される。九電にとっては第2次石油ショック以来33年ぶりの値上げとなるが、来年、原発が再稼働しないとさらなる値上げは避けられない。九州経済にとって非常事態の到来である。
九電が発表した値上げ幅は家庭用が平均8.51%、企業向けが14.22%。11月27日に会見した瓜生道明社長は「お客さまに多大なる負担をお願いすることにおわび申し上げます」と深々と頭を下げたが、値上げが実現したとしても経営が火の車であることに変わりはない。
今回、申請した値上げ幅はあくまでも来年7月以降、鹿児島・川内原発1、2号機と佐賀・玄海原発3、4号機が再稼働して約4200億円の燃料費が節約できることを前提にはじき出したものだからだ。もし、両原発が再稼働せず財務状況が悪化すれば「再値上げは避けられない」と瓜生社長はいう。
実際、6500億円あった九電の内部留保も底をつきつつある。今年度には3650億円という記録的赤字が予想される九電だが、原発稼働ゼロが続けば頼みの内部留保もなくなり、2014年度には債務超過に陥るという現実が待っている。再値上げをせずに九電が経営を維持していく道は原発の再稼働しか残されていない。
合理化計画も限界に近い。新卒を減らし、社員の平均給与も年間200万円近く減らして人件費を400億円圧縮するなど、年間1100億円の合理化を進めているが、燃料費はその数倍規模で膨らんでいく。今年度末の有利子負債は2兆6400億円と膨大な水準となる。九電の経営はもはや瀕死(ひんし)の状態にある。
九電の値上げ発表の2日後の29日に福岡入りした野田佳彦首相は、市内中心部の天神で「30年には原発ゼロ」と力説したが、集まった聴衆の反応は鈍かった。自動車や半導体など製造業に依存する九州にとって、原発ゼロによる電力料金の値上げが経済を一気に疲弊させることは聴衆の方が理解しているのだろう。まして福岡は伝統的に自民党の地盤である。
原発ゼロ政策がいかに高いコストにつくかは、ドイツの例でも明らかである。脱・原発政策のもとで世界に先駆けて12年前に再生エネルギーの買い取り制度に乗り出した同国だが、過去10年間で電気料金は1.8倍に跳ね上がった。買い取りコストが膨大な額にのぼった結果だ。
そもそもドイツは17基の原発を保有する世界9位の「原発大国」。現在も9基が稼働し電力の2割をまかなっているにもかかわらず現実は厳しい。原発なきエネルギー政策が、国民経済にいかなる犠牲を強いるかは、実は脱・原発“先進国”であるはずのドイツの現状が如実に証明している。(産経新聞西部代表 鶴田東洋彦)