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本社機能の賃貸ビル移転急増 空間確保、リストラ対応…大企業もメリット意識

ニュースカテゴリ:企業の経営

本社機能の賃貸ビル移転急増 空間確保、リストラ対応…大企業もメリット意識

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キリンホールディングスが本社機能を移転する中野セントラルパーク=東京都中野区  本社機能を自社で保有するビルから賃貸オフィスに移転する企業が、東京都内で急増している。

 米系不動産サービス大手のシービーアールイー(CBRE、港区)の調査によると、移転の受け皿となる23区内のオフィスの賃貸面積は1~11月の契約ベースで14万8500平方メートルと、11年の年間実績の2.5倍に達したことが5日、分かった。東日本大震災以降、耐震性や事業活動の継続性を重視して、ビルの保有よりも機能を重視する企業が増えているとみられる。

 このうち、キリンホールディングスは渋谷、中央両区などの自社ビルに分散していた国内グループ各社の本社機能を、12年5月に完成した大規模複合ビルの中野セントラルパーク(中野区)に集約。13年3月から移転を始め、6月に完了させる。

 同社は移転の理由について、グループ各社の連携強化や拠点集約による効率化を挙げるとともに、「災害時に迅速で統一的な対応が可能になり、最新の防災機能を持つビルに移ることで社員の安全と事業の継続性が確保できる」としている。

 住友スリーエムは世田谷区の自社ビルから、旧ソニー本社跡地を再開発したガーデンシティ品川御殿山(品川区)などへ13年5月に移転。TOTOも港、世田谷両区に分散する自社ビルから汐留ビルディング(港区)へ本社機能を同6月に集約する。

 最新のオフィスビルは内部の柱が少なく、ワンフロアで大きな空間を確保できるのが特徴。机や備品などの配置の自由度が高まることから、古いビルよりも効率が2~3割程度高まるとされる。経営統合による人員増やリストラによる人員減が生じても、柔軟に対応できるメリットも意識されているようだ。

 CBREの渡辺善弘・ビル営業本部エグゼクティブマネージングディレクターによると、11年は震災後に、従業員数が比較的少なく、身動きが取りやすいIT系のベンチャー企業などが相次いで移転。維持費などのコスト削減を図る狙いもあり、「12年に入ってからは大企業が移転を決めている」という。

 ただ、建物の機能の高さや立地の良さを、本社を置く条件としている傾向が強く、企業の移転は都心のビル賃貸料を全般的に押し上げる要因になる可能性がある。オフィスビル市場では「3.3平方メートル当たり2万~2万5000円程度と賃貸料が値ごろで利便性も高い物件は、品薄感が出ている」(渡辺氏)という。(那須慎一)

 東京都内で本社機能の移転を実施・計画する主な企業

 ◆田辺三菱製薬(2012年5月)中央、千代田両区の自社ビルに分散する東京本社の拠点を集約、日本橋小網町スクエアビル(中央区)へ

 ◆ミスミグループ本社(12年9月)江東区の自社ビルなどに分散する拠点を集約、住友不動産飯田橋ファーストビル(文京区)へ

 ◆住友スリーエム(13年5月)世田谷区の自社ビルからガーデンシティ品川御殿山(品川区)などへ

 ◆キリンホールディングス(13年6月)渋谷、中央両区の自社ビルに分散する拠点を集約、中野セントラルパーク(中野区)へ

 ◆TOTO(13年6月)港区の自社ビルなどに分散する拠点を集約、汐留ビルディング(港区)へ

 ※()は移転完了時期(予定を含む)

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