ニュースカテゴリ:企業
サービス
LCC各社でパイロット争奪戦 路線・便数拡充…人材不足どうする
更新
ピーチ・アビエーションでは、運航乗務員の募集を積極的に進めている(同社ホームページより) 国内の格安航空会社(LCC)がパイロットの確保に奔走している。ピーチ・アビエーションに続きジェットスター・ジャパン、エアアジア・ジャパンが相次ぎ就航し、利用者が増える中、各社とも路線・便数の拡充を急ぐためだ。
パイロットに対する需要はアジアを中心に高まっており、各社は即戦力となる経験者だけでなく、新卒者の採用にも乗り出す。しかし、パイロットの平均年収は1千万~2千万円といわれ、確保にコストがかさめば、“生命線”である収益力に影響する可能性もある。
「今後の課題は運航乗務員(パイロット)の確保。地道にリクルーティング活動をしていく」
11月29日。ピーチの累計利用者が国内・国際線合わせて100万人を突破したこの日、井上慎一最高経営責任者(CEO)はこう述べ、表情を引き締めた。
ピーチは関西国際空港を拠点に、国内線は札幌、那覇などを結ぶ5路線、国際線では韓国ソウルなどを結ぶ3路線を展開する。
今後も札幌線など国内線を増便するとともに、国際線でも中国本土便の開設を目指している。
ピーチの機材はLCCがよく使う「エアバス320型機」で、路線・便数の拡充に合わせ、現在の6機から来年に10機、平成27年には17機態勢とする計画だ。
短距離路線を飛ばすLCCでは「1機当たりパイロットは10人程度必要」(関係者)。このため、ピーチでは27年に現在の3倍弱にあたる170人程度が必要となり、急ピッチの確保を迫られているというわけだ。
ジェットスターも、機材数を現在の7機から来年に20機、26年には24機に増やす。現在は3機を運航するエアアジア・ジャパンは27年に約30機に拡大する目標を打ち出している。
単純に計算すると、27年ごろには国内LCC3社で700人前後のパイロットが必要となる。ある関係者は「これだけの人数を確保するのは厳しいと思う」と指摘する。
現在、フルサービスキャリアの日本航空は約1500人、全日本空輸は約1800人のパイロットを擁しており、ジェットスターの担当者は「今後の成長を見据えると、パイロットの確保は欠かせない」と話す。
ただ、世界的にLCCが人気を集める中、パイロットに対する需要は高まっている。今後5年間でアジアだけでも2万人近いパイロットが必要になるとの観測もあり、世界的な争奪戦の激化が予想される。
国内LCC3社は、日航を退職したパイロットをはじめ経験者を採用。外国人パイロットの採用も進んでおり、「即戦力として急速な事業拡大に合わせられる」(関係者)ためだ。
とはいえ、国内航空会社のパイロットの平均年収は日航が約1400万円、全日空が約2千万円。一方でスカイマークでは約800万円と開きがある。
LCC各社は年収を明らかにしていないが、好条件を提示するなどして経験者を確保しようとすれば、それだけコストがかさむ。
このため、LCC各社は航空大学卒の新卒採用にも乗り出す方針だ。全日本空輸グループの訓練施設を使用しているピーチは「パイロットの訓練を受けている新卒生を採用する」(担当者)という。エアアジアの担当者も「積極的に採用を進める」と話す。
ただ、新卒者の養成にも時間とコストがかかる。パイロットの確保が難航すれば、「低運賃の要である低コスト経営に影響する恐れがある」(関係者)との懸念も出始めている。(中村智隆)