ニュースカテゴリ:企業
サービス
B787運航、年度内再開は困難 部品供給側への影響深刻
更新
緊急着陸した全日空機のボーイング787=16日午前10自半、高松空港(本社ヘリから、頼光和弘撮影) ボーイング787の運航停止が長期化する可能性が強まっている。3月末の今年度末までに解除され、運航が再開されることは極めて難しい。米ボーイング社もB787の出荷を停止し、今後、製造もストップするとみられる。全日空など航空会社よりもむしろ、素材や部品などを供給する日本メーカーの業績への影響が深刻化しそうだ。
B787のトラブルについて、米連邦航空局(FAA)と国土交通省はともに、リチウムイオン電池の安全性が確認できるまで運航停止を指示する「耐空性改善通達」を出している。運航再開には、原因を究明し実験や検証を繰り返して安全性を確認するか、あるいは実績のあるニッカド電池に切り替えるといった対応が必要となる。
「人為的なミスが原因とわかれば数週間で再開できる」(早稲田大の戸崎肇教授)が、可能性は「極めて低い」(同)。
電池に構造上問題がある場合には、同じようなトラブルを再現させることで、原因のメカニズムを解明する行程が必要。実験室だけでなく、一定期間のテスト飛行なども不可欠で、数カ月は必要になる。
ニッカド電池への切り替えも、少なくとも3カ月はかかる。B787はリチウムイオン電池で「型式証明」を取っているためで、ニッカドを搭載した機種を投入する際には新たな型式証明の審査を取る必要があるためだ。
さらに、B787を戦略機と位置づけるボーイングは「急いで運航再開させるよりも十分に信頼を回復させるため、従来以上に慎重に対応する」(戸崎教授)とみられ、対応は長期化する可能性が高い。
こういった状況から、株式市場は「少なくとも今年度末まで運航停止が続くシナリオで関連企業の業績分析に入る」(外資系証券アナリスト)など、長期化を織り込みつつある。
ただ、航空会社の短期的な影響は少ないという見方が強い。全保有機が225機の全日空で、B787は17機で比率は7%程度、日航も3%程度だ。一部で欠航はあるが、長期化しても「ボーイングが費用を負担する形でのリース機での代替」(野村証券の廣兼賢治リサーチアナリスト)が進み、航空会社への打撃は少ない。
一方、主翼など重要部品を含む全部品の35%が日本企業製で、「メード・ウィズ・ジャパン」とも称されるB787の生産が停止となると、供給者側への影響が大きくなる。問題となっている電池のジーエス・ユアサコーポレーションだけでなく、炭素繊維素材の東レや内装品のジャムコなどにとってもボーイング向け出荷が滞ることになるため、「今期業績の下方修正懸念が強まる」(外資系証券)状況だ。