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輸入車勢、300万円以下で攻勢 若者囲い込み“上客”へ育成

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輸入車勢、300万円以下で攻勢 若者囲い込み“上客”へ育成

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新型「Aクラス」を紹介するメルセデス・ベンツ日本の上野社長=東京都港区  輸入車各社が、300万円を下回る価格帯への戦略を強化している。燃費性能を高め、デザインをスポーティーにした小型車を投入し、まだ若く所得の低い世代へアピールし始めた。若者世代を囲い込んでおき、利幅が大きい高級車に買い替える“上客”へと育てる狙いだ。日本車の主力商品がひしめく小型車・エコカー市場に対する輸入車勢の攻勢は、国内市場の競争激化に火を付けそうだ。

 「今年はこの車で販売台数を稼ぎ、10%以上伸ばしたい」。メルセデス・ベンツ日本(東京都港区)の上野金太郎社長はこう意気込む。

 最安価格が284万円のハッチバック車「Aクラス」(排気量1600~2000cc)を1月17日発売。前の車を自動追尾するなどの先進安全装備を加えたが、前モデルからの値上げ幅は15万円にとどめて「お値打ち感」を出した。

 上野社長の念頭にあるのは、競合するフォルクスワーゲン日本法人(VWJ)が昨年10月投入した小型車「UP!(アップ)」(149万円~)の好調ぶりだ。

 アップは、追突事故を防ぐ先進安全システム「シティエマージェンシーブレーキ」を前面に打ち出し、シンガーソングライター、久保田利伸さん出演のテレビCMで新鮮なイメージを演出した。

 その結果、年末まで約3カ月間に6200台を受注し、VWJの年間新車販売台数が5万6188台と、前年実績から11%伸ばす原動力になった。

 この成功を受け、メルセデスも、宣伝や販売手法に「若者狙い」を際立たせた。

 敷居の高いブランドイメージをなじみやすく変えるため、人気アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」のスタッフを起用した異例のプロモーションアニメを制作し、ネット上で公開。購入プランも、毎月の支払額を抑えられる残価設定ローンと点検整備のパックを用意し、維持費の不安を解消して契約増を目指す。

 一方、フィアットクライスラージャパン(東京都港区)は昨年末、235万円からの「イプシロン」を発売した。

 排気量900ccでガソリン1リットル当たりの走行距離は19.3キロと、従来の“アメ車”のイメージを覆す小型車で、主に子育て後の夫婦や女性をターゲットに狙う。

 受けて立つ日本勢も、コンパクトカーが目立つ。日産自動車と三菱自動車は共同開発中の軽自動車を6月にも発売し、ホンダは世界戦略車「フィット」の全面改良を予定する。

 昨年は軽自動車の比率が新車販売の約4割に上り、ランキング上位10車種のうち6車種を軽が占めた。今年はエコカー補助金効果の反動で販売減少も想定されるだけに、本格参入してきた輸入車勢と日本勢の争いは、より熾烈(しれつ)なものになりそうだ。

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