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ホンモノ求める“美のソムリエ” 高級化粧品が必ずしも高評価とは限らない

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ホンモノ求める“美のソムリエ” 高級化粧品が必ずしも高評価とは限らない

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化粧品を評価、分析し、ホンモノの追求に余念がない美容のプロ「コスメソムリエール」たち=桃谷順天館本社(同社提供)  ドラッグストアや雑貨店の棚に所狭しと並ぶ化粧品のなかで、最近、「口コミサイト1位」「女性誌ベストコスメ」などのポップで存在感を増している化粧品メーカーがある。明治18(1885)年創業の桃谷順天館。流行の先端をいくがゆえに、浮き沈みの激しいのが化粧品業界。そんな中、同社が100年を優に超えて、なお、ヒット商品を生み続けるカゲには、ホンモノを追求する“美のソムリエ”があった。

 ブログで多彩な美容情報を発信

 同社ブランド「明色化粧品」のホームページをのぞくと、飛び込んでくるのは「コスメソムリエール」たちがブログで熱く発信する美容情報。このコスメソムリールこそが、その“美のソムリエ”である。

 ブログの内容は自社商品にとどまらず、他社商品の容器や韓流コスメ視察報告、さらに冷え性改善のツボ、食生活…と実に多岐にわたっている。似顔絵と絵文字入りで、まるで女友達のブログのようだ。

 サイトには『化粧品会社のコスメ好き女子』と紹介されている彼女たちだが、ただのコスメフリークではない。年間約500商品にも上る試作品のすべてをフィルターにかけ、改良点を指摘する美容のプロ集団なのである。

 チームが発足したのは平成18年。化粧品会社とはいえ、商品化を決める経営会議に参加する役員はほぼ男性だ。商品化に向けて市場調査はしていても、消費者が競合他社と自社商品を、どこまで比較検討しているかつかみかねていた。

 コミサイトで1位になった商品も

 そんな折、「コスメ好きの客観的な声が聞きたい」という幹部の発案で、自社、他社商品を問わず、使用する立場から化粧品を評価、分析する専門チームとしてコスメソムリエールが発足した。

 メンバーは現在10人。主な仕事は試作品の使用感をチェックする「官能評価」と、社内報でのトレンド商品報告。

 官能評価は、自宅へ商品を持ち帰り、一定期間、実際に使ってみて、肌なじみや保湿力、香り、使用後の肌の感触などを、すべて10段階で評価する。

 中央研究所に所属し、いつも白衣姿で化粧品の成分配合を研究している永田香織さん(29)は、ソムリエールの会議で、数社の化粧水を比較評価したところ、高級ブランドや高価な成分を配合した商品が、必ずしも高評価ではないことに驚いたという。

 永田さんは「化粧品の品質は価格じゃない。処方のバランスが良いものが効果を発揮する」と実感したという。

 このため、自社商品を評価する際も「使用感を決める処方を担当しているだけに、評価には神経を使う」と研究職のプライドをかけて臨んでいる。大切なのは客観性だ。

 明色化粧品の企画マーケティング部マネージャーの斉藤舞さん(27)は、担当したヘアウオーターをソムリエールの評価にかけ、香りを何度も改良して23年4月に発売した。その結果、発売直後に口コミサイトで1位を獲得し、一時店頭で品薄になるほどのヒット商品になった。

 ソムリエの会議は話題の尽きない“女子会”

 四半期に1回開くソムリエール会議では、それぞれ注目している商品を持ち寄って報告する。

 斉藤さんは「トレンドの商品を試したり、情報交換したりすることで、お互いに知識を高め合える」と、さまざまな職種から選ばれたソムリエールのメンバーとの交流が大いに刺激になっているという。

 会議ではコスメの話題は尽きることがない。「会議はいつも女子会のようです。それにみんな綺麗にしているので、美容には手を抜けない」と斉藤さんは笑顔をみせる。

 チームの活動が明らかに効果を発揮し、この5年、同社の売上高は右肩上がりで推移。ソムリエールの地道な活動は、いまや同社の商品力アップに欠かせないものになっている。(石川有紀)

◇会社データ◇

本社=大阪市港区市岡2-4-30

創業=明治18年

事業内容=化粧品の製造販売など

売上高=101億円(平成24年12月期)

従業員数=273人(24年12月現在)

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