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加速するアベノミクス効果 経済界に歓迎ムード高まる

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加速するアベノミクス効果 経済界に歓迎ムード高まる

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広島県安芸高田市の浜田一義市長(左)から「三本の矢」を贈られ、「祈経済再生」などと書かれた木箱のふたを手にする安倍晋三首相=25日午後、首相官邸(酒巻俊介撮影)  安倍晋三政権が掲げる「大胆な金融緩和」を支える日銀の正副総裁人事が固まるとともに、日米首脳会談の結果、政府が環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉に参加を表明する方向になったことを受け、経済界には歓迎ムードが高まっている。

 さらなる金融緩和で円安が進むことで輸出競争力が高まり、TPP参加が実現すれば輸出拡大につながるとの期待が膨らむ。25日の金融市場では円安・株高が進み、安倍政権の経済政策「アベノミクス」の効果を先取りする動きが加速した。

 「日銀総裁には、うってつけだ」

 経団連の米倉弘昌会長は25日の会見で、政府が日銀の次期総裁に黒田東彦アジア開発銀行総裁を充てる人事を固めたことを高く評価した。

 黒田氏が大胆な金融緩和を行うとの見方から、25日の円相場は一時1ドル=94円台に下落し、東京株式市場でも買い注文が優勢となった。黒田氏の起用を支持する声は産業界に多く、「既に株価に期待値が表れている」(日本自動車販売協会連合会の守川正博会長)。

 TPPについても「民間投資を喚起する成長戦略の重要な一部」(日本商工会議所の岡村正会頭)、「日本経済が世界とともに成長するには不可欠」(経済同友会の長谷川閑史代表幹事)といった指摘が多い。

 中でも自動車や電機業界は、ライバルの韓国勢が貿易自由化で先行していることから「TPPや経済連携協定(EPA)などに期待したい」(日立製作所の中村豊明副社長)と、貿易自由化の拡大による競争条件の改善を熱望している。

 TPPへの参加は、輸入食材を利用する食品メーカーや外食チェーンなど内需型の産業にもメリットは大きい。米国などからの輸入品の関税が撤廃されれば、商品を安く提供できるようになり、内需が拡大する可能性があるからだ。

 「国内の景気が良くなれば、消費も良くなる」(キリンホールディングスの三宅占二社長)と、TPP参加が好循環を後押しするとの見方は少なくない。

 ただ、政府との合意で日銀が導入したインフレ目標などの達成は容易ではなく、次期日銀総裁には「金融政策の次の一手には高い心理的ハードルがある」(第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミスト)との指摘もある。

 TPPをめぐっても、輸入品との厳しい競争にさらされる農業などの競争力を高める対策が喫緊の課題になる。

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