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「アベノミクス」G20で一定理解 デフレ脱却が目的と強調
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安倍晋三首相 【モスクワ=小川真由美】15日夜(日本時間16日未明)に初日の討議を終えた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で、日本は、安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」について、各国から一定の理解をとりつけることに成功した。
為替に影響を与える大胆な金融緩和策に対しても、長引くデフレからの脱却が目的ということを強調し、「意図的な円安誘導」という批判は表面化しなかった。これを受け15日のニューヨーク外国為替市場でも、円安ドル高が進むなど、為替市場からも一定の評価を得た格好だ。
「賛成とか反対とかいう話が出ていることはない」
この日の討議を終えた麻生太郎財務相は安堵(あんど)の表情で記者団の質問に答えた。当初、安倍政権発足後の急激な円安について、意図的な誘導といった激しい批判が出る懸念もあっただけに、会議初日の各国反応が注目されていた。
日本を名指しした批判発言が続けば、共同声明に盛り込まれる可能性もあったためだ。
麻生財務相は、アベノミクスで中期的には財政健全化も進めるとし、「日本経済が再生することは、間違いなく世界経済によい影響を与える」と各国に理解を求めた。
円安は日本の金融緩和によるものだけではない。欧米経済の好転や、東日本大震災以後のエネルギー輸入の増加に伴う貿易赤字拡大も背景にある。この点を強く説明したことも、批判の回避につながった。
G20初日の各国反応を受け、15日のニューヨーク外国為替市場の円相場は午後5時現在、前日比61銭円安ドル高の1ドル=93円44~54銭となった。国際社会にアベノミクスが受け入れられたと市場が受け止めたからだ。
ただ、為替の現状について、新興国側の反発は根強い。
メキシコのカルステンス中央銀行総裁はG20開幕直前、先進国の金融緩和について「金融市場の混乱を引き起こす」と警戒感を示した。各国の思惑が入り乱れ、「絶対唯一の解決策がない」(関係者)為替政策で、歩調を合わせるのは容易ではない。
特に今後、一段の円安が進行した場合、国際社会の批判の矛先は、再び日本に集中することになる。そうなれば、アベノミクスの実現にブレーキがかかるおそれもある。日本のデフレ脱却が世界経済に貢献する視点も含め、日本は説明を重ねる必要がある。