SankeiBiz for mobile

「アベノミクス」で世界経済に貢献を G20、モスクワで15日開幕

ニュースカテゴリ:政策・市況の国内

「アベノミクス」で世界経済に貢献を G20、モスクワで15日開幕

更新

 日米欧の先進国に中国、インドなどの新興国を加えた20カ国・地域(G20)の財務相・中央銀行総裁会議が今月15、16日にロシア・モスクワで開かれる。大胆な金融緩和などを掲げる安倍晋三政権の「アベノミクス」を各国に説明する政府レベルの初の国際会合となり、日本は世界の注目を集めそうだ。日銀の量的緩和で円安が進む中、海外からは安倍政権の政策が「通貨安競争」を招くとの警戒感が出ている。日本経済の再生で世界経済への貢献を目指す日本の姿勢に国際社会の理解を得られるかが焦点になりそうだ。

 会議には麻生太郎財務相と日銀の白川方明総裁が出席する予定。麻生財務相はアベノミクスの柱である大胆な金融緩和、機動的な財政出動、民間活力を喚起する成長戦略の「三本の矢」について説明。同時に、財政再建を堅持する姿勢も示し、10年以上続くデフレ脱却への強い意思を打ち出すとみられる。

 民主党政権下では欧州債務危機に伴うユーロからの資金逃避で円高が進行。日本は円高是正を訴えてきたが、「欧州危機の深刻化で成長戦略がない民主党は埋没した」(大手証券)。その結果、円は一時、1ドル=75円台まで高騰し、自動車など裾野の広い輸出企業を直撃。日本経済の下押し要因となった。

 野村証券金融経済研究所の木下智夫チーフエコノミストは海外からみた安倍政権について、「世界経済の成長エンジンとして期待され始めた」と指摘する。先進国では景気低迷が長引き、欧州危機の火種は依然としてくすぶる。新興国にも欧州危機が波及し、成長が鈍化する中、安倍政権がデフレ脱却に舵をきったことで、日本が世界経済の牽引(けんいん)役として有望視され始めたからだ。

 一方、急激に進む円安に、輸出産業で競合するドイツや韓国などからは批判も出ており、会議では「日本発の通貨安競争」も議論にのぼりそうだ。先月以降、ドイツのメルケル首相のほか、ロシアや韓国の中銀からも批判が噴出。今月6日には中国人民銀行も日米欧の金融緩和を監視する考えを示した。

 安倍政権の重要閣僚で首相経験者でもある麻生財務相が、通貨安競争に対する各国の懸念を払拭し、海外の支持を得られるかも注目される。

ランキング