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くら寿司“脇”を固める挑戦 天丼を商品化、平日の需要喚起

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くら寿司“脇”を固める挑戦 天丼を商品化、平日の需要喚起

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くらコーポレーションの「7種の魚介だれ、すしやの天丼」発売記念イベントで新メニューを紹介する社員たち=2月26日、東京都中央区のロイヤルパークホテル 【飛躍カンパニー】

 回転すしチェーン「無添(むてん)くら寿司(ずし)」を展開するくらコーポレーション(堺市中区)は、魚本来のうま味を生かした新メニュー「すしやの天丼」を発売した。同社は、新鮮な魚介を仕入れて調理する強みを生かしたサイドメニュー作りに力を入れており、天丼はラーメンに続く第2弾。食の選択肢を広げる戦略で、激化する外食産業の競争を乗り切る考えだ。

 くら寿司は、化学調味料や合成着色料などの「4大添加物」を一切使わない“無添すし”を1皿2貫105円で提供することを売りに集客力を高めてきた。その力を昼夜や曜日を問わず底上げするため、「魚介を知り尽くしたすし屋」だからこそ作れる天丼を商品化した。

 天丼の特徴は、コンブやカツオ、サバなど7種類の素材を調合し煮立てて作った「特製魚介だれ」を使うことだ。この魚介だれは、注文を受け付けてから調理する揚げたての天ぷらにかける。天丼の素材もすべて無添加。価格は399円とした。

 丼メニュー開発の最終段階では、メニュー候補を「牛」「鉄火」「天ぷら」の3種類に絞り、昨年秋に九州の約20店舗でテスト販売したところ、天丼の販売量が頭一つ抜きんでた。

 その結果を踏まえながら食材の原価やボリュームなどについて総合的に検討。並行して、魚介だれを試行錯誤しながら開発し、サクサク感を実現できる天ぷら粉にもこだわった。

 サイドメニューを拡充する背景には、丼専門店やコンビニエンスストア、ファミリーレストランなどの多様な業種が入り乱れて客を奪い合う「乱戦」がある。

 同社は「回転すし御三家」の一角を担い、「かっぱ寿司」のカッパ・クリエイトホールディングス、「スシロー」のあきんどスシローの上位2社と競い合ってきたが、回転すし業界以外の追い上げも軽視できなくなってきた。

 そこでくらコーポレーションは「食のテーマパーク化」を追求し、若年層に親と祖父母の世代を加えた「3世代消費者」を呼び込む商品の開発を強化する方針だ。

 昨年11月には「7種の魚介醤油(しょうゆ)らーめん」(367円)を投入し、今年1月までに200万食を突破するヒット商品に育て上げた。これに続く天丼の販売目標は、発売後2カ月間で100万食だ。

 「丼とラーメンのメニューを増やし、平日の需要獲得にもつなげたい」と商品開発担当の松島由剛マネージャー。主役のすしの“脇”を固める挑戦はこれからも続く。(臼井慎太郎)

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