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「柏の葉スマートシティ」来年5月完成 三井不動産、差別化戦略の柱に

2013.3.6 08:00更新

「柏の葉スマートシティ」を体感する施設では、地区内の電力を融通する仕組みも紹介している=5日、千葉県柏市

 三井不動産は5日、日本初の「スマートシティ(次世代環境都市)」として整備を進める「柏の葉スマートシティ」(千葉県柏市)の全面完成が2014年5月になると発表した。スマートシティで培った都市開発のノウハウを同業他社との差別化戦略の柱に据え、今後は国内だけでなく、海外の街づくりに生かす収益事業に育てる構えだ。

 スマートシティの全面完成は、つくばエクスプレス(TX)の「柏の葉キャンパス駅」前にオフィスやホテルなどを設ける最終計画「148街区」の工事完了時期に合わせる。

 三井不動産は「都市の未来像を世界に示す新たな街」(岩沙弘道会長)として、スマートシティの展開に力を入れている。住宅や商業施設、オフィスを総合的に開発できるノウハウがある同社の強みが生かせるほか、環境対応型の街づくりの需要が今後高まるとにらんでいるからだ。郊外でもスマートシティとして整備することで、街の付加価値が付き「採算が合うようになる」(同社関係者)という思惑も働く。

 今後、国内では神奈川県藤沢市でパナソニックなどとスマートシティに取り組むほか、グループ会社が茨城県守谷市で宅地開発を進める計画。千葉・柏の事例では海外からの視察も多く、海外でもスマートシティ事業の商機が広がっている。同社の河合淳也・柏の葉キャンパスシティプロジェクト推進部長によると「特に東南アジアの人は、鉄道を軸にした街づくりへの関心が高い」という。

 千葉・柏のスマートシティでは来春を目標に、太陽光などで発電したスマートシティ内の電力を管理し、融通する仕組み「スマートグリッド(次世代送電網)」を導入。「防災にも強い街」との観点で、電気自動車(EV)を使った非常用電源も整備した。

 「次世代の生活」を実現する試みも進む。昨秋から一部世帯の協力を得て、家庭用植物工場の実験を開始。地域内の植物工場で栽培された野菜類は、近く商業施設「ららぽーと柏の葉」のスーパーで販売する。

 同社は、こうした取り組みを紹介するため、体験施設を3月19日に開業する。入場料は大人500円。

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