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日本語電子書籍、アップル参入で競争激化へ
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米アップルの電子書籍サービス「iBookstore」の画面 米アップルは6日、同社の電子書籍サービス「iBookstore(アイブックストア)」で日本語書籍の販売を始めた。講談社や文芸春秋など大手出版社と連携し、新刊本を含めて数万点の小説や漫画などを配信。米アマゾン・コムなども既に日本で電子書籍サービスを始めているが、タブレット端末のシェアで優位に立つアップルの参入で、ユーザーの囲い込み競争が一段と激しくなりそうだ。
アップルのサービスでは、無料の専用ソフトを同社のタブレット端末「iPad(アイパッド)」やスマートフォン(高機能携帯電話)「iPhone(アイフォーン)」などに取り込んだ上で書籍を閲覧できる。
配信作品は村上龍氏や横山秀夫氏といった著名作家の小説をはじめ、尾田栄一郎氏の「ONE PIECE(ワンピース)」などの人気漫画、さらに音声付きの絵本などもそろえた。
インターネット上で情報をやり取りする「クラウドコンピューティング」に対応し、タブレットで読みかけた電子書籍の続きをスマホで読めるなど端末間の連携も基本的に可能だ。
もっとも、サービスの核となる日本語書籍の数では見劣りする。コンテンツの定義の違いから単純比較は難しいものの、専用端末などの「キンドル」シリーズを展開するアマゾン・コムは8万8000点以上、「コボ」シリーズで2012年7月に参入した楽天は12万4400点以上としており、当初は数万点にとどまるアップルとの差は大きい。
ただ、アップルは「紙の本としても出版社が流通させる優良な書籍だけを扱っている」と、質の高さを強調。専用端末と違い、アイパッドなどの端末は音楽や動画、豊富なアプリ(応用ソフト)といった多彩なコンテンツを利用できることから「端末やサービスの使いやすさ、楽しさで勝負したい」とする。
ソニーが12年10月に専用端末「リーダー」の新機種を発売し、凸版印刷グループも端末「リディオ」を12月に投入するなど国内勢も負けていない。国内、海外勢が入り乱れる中にアップルが加わり、日本の電子書籍サービスは、いよいよ淘汰(とうた)をかけ争う状況に入った。(是永桂一)