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ソニーはアップルよりも「高成長企業」?
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米アップルが大株主のヘッジファンド「グリーンライト・キャピタル」から圧力を受けている。1370億ドル(約13兆円)もの現金を手元に抱えているため、配当として株主に還元するよう求められている。
共同創業者であり、カリスマ経営者だったスティーブ・ジョブズが死去してから1年余りのアップル。成長力に陰りが出てきたとの懸念から、株価は昨年9月の高値705ドルから3割以上下げ、500ドルを割り込んでいる。
ジョブズ亡き後のアップルは有力な成長分野を見いだせず、株主へ資金を返還しなければならなくなったのか?
一般に成長企業は低配当、成熟企業は高配当だ。成長機会が豊富にあれば利益を再投資し、さらなる成長を目指せばいい。株価上昇で株主に報いるわけだ。一方、成熟企業は魅力的な投資先を見つけられず、配当で株主に報いようとする。
1990年代に米IT(情報技術)産業を牽引(けんいん)したいわゆる「ウィンテル」連合のマイクロソフトとインテルが、例として分かりやすい。両社とも以前は無配当の高成長企業であったものの、今では株式市場で高配当銘柄として買われている。
年間配当を株価で割って算出する配当利回りで見ると、2月22日時点でマイクロソフトは3.3%、インテルは4.4%。高配当・低成長の代表格である電力会社とあまり変わらない。
実は、長らく高成長IT銘柄の代表格とみなされてきたアップルの配当利回りも2.3%に達している。グーグルやフェイスブックは無配当経営だ。今も急成長中であり、投資機会はいくらでもあるからだ。株主にしてみれば、「配当ではなく株価上昇を期待して買っている。利益は配当ではなく再投資に回してほしい」ということなのだ。米IT業界では新旧交代に伴う新陳代謝が常に起きている。
IT業界以外では、米著名投資家のウォーレン・バフェットが率いる投資会社バークシャー・ハザウェイも無配当経営だ。その理由を端的に説明するなら、「利益を配当に回せば、それを株主が自ら運用しなければならない。少なくとも私は株主よりも上手に運用する自信がある。だから利益は内部留保する」ということである。
日本企業はどうか。たとえばソニー、ソフトバンク、任天堂の配当利回りは2月22日時点でそれぞれ1.9%、1.2%、1.1%であり、アップルを下回る低配当だ。日米金利差などを考えると単純比較はできないが、「低配当=高成長」という図式に従えば、配当利回りで見る限り3社ともアップルよりも「高成長企業」ということになる。
成熟企業が過去の栄光にこだわり、配当を抑えて成長を追い求めたらどうなるか。無謀な企業買収や過大な設備投資などで、株主から預かった資金を浪費するというリスクが出てくることを、理解する必要がある。(ジャーナリスト 牧野洋)