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失敗許されない「PS4」 ソニー期待膨らむも“救世主”となる保証は…
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ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)は21日、据え置き型の家庭用ゲーム機の新製品「プレイステーション(PS)4」を発表した。2006年発売の「PS3」の後継機で、7年ぶりの刷新。携帯型ゲーム機「PS Vita(ヴィータ)」やスマートフォン(高機能携帯電話)との連携性を高め、インターネット経由で他のユーザーと交流できる機能を強化した。価格は未定。年末商戦に投入し、中核分野のゲーム事業での巻き返しを目指す。
PS4は高い情報処理能力を誇り、画像も高精細化した。コントローラーには指で操作できるタッチパネルや交流機能専用ボタンを搭載。他のユーザーが遊んだゲームの展開を見たり、感想を共有できる。12年夏に買収した米ゲーム会社、ガイカイの技術を生かし、ネット上でソフトウエアなどを共有するクラウド技術もゲームに活用する。
さらにPSヴィータや手持ちのスマホ、タブレット端末をサブ画面として利用できるようにし、任天堂の据え置き型ゲーム機「Wii U(ウィー・ユー)」に似た機能も取り入れた。
PS4にかけるソニーグループの期待は大きい。ソニーの12年4~12月期の連結営業損益は829億円の黒字(前年同期は658億円の赤字)に転換したが、主に資産売却や金融事業の下支えによるものだ。ゲーム事業は15年3月期に12年3月期比で34%増の1兆円の売上高を目指しており、収益回復を軌道にのせる牽引(けんいん)役として失敗は許されない。
もっとも、11年12月に投入したPSヴィータが伸び悩むなど、足元では販売不振に苦しんでいる。ソニーは今月に入り、携帯型ゲーム機の13年3月期の年間販売計画について、従来の1000万台から700万台に下方修正し、PSヴィータを最大1万円値下げすることも決めた。ゲーム大手の幹部は「有力なソフトがない」と、ヴィータの劣勢挽回は厳しいと指摘する。
「PS4の登場でゲーム体験の可能性が広がり、より臨場感のあるゲームを楽しんでいただける」。現地時間の20日、米ニューヨークで開いた説明会で、SCEのアンドリュー・ハウス社長は自信をみせた。
ただ、いまや最大のライバルは他社のゲーム専用機ではなく、スマホやタブレット端末。短時間でゲームを楽しむユーザーが増える中、専用機が人気を盛り返すのは容易ではなく、PS4がソニーの救世主となる保証もない。(米沢文)
◇ソニー
PS(1994年) 1億 240万台
PS2(2000年) 1億5500万台
PS3(06年) 7000万台
◇任天堂
ファミリーコンピュータ(1983年) 6191万台
スーパーファミコン(90年) 4910万台
NINTENDO64(96年) 3293万台
ニンテンドーゲームキューブ(2001年) 2174万台
Wii(06年) 9938万台
Wii U(12年) 306万台
◇マイクロソフト
Xbox(01年) 2500万台
Xbox360(05年) 7600万台
※カッコ内は発売年。PSは出荷台数。ソニーは2012年3月末、任天堂は12月末、Xboxは06年、同360は13年2月時点