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ビール大手、飲み方で新提案 2層カクテル、絶妙な冷たさで差別化
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キリンビールが提案する凍った泡が特徴の「一番搾りフローズン〈生〉」(右)と2層のビアカクテル「一番搾りツートン」=東京都千代田区 気温の上昇に伴い増加するビール需要を見据え、ビール大手4社が競って、飲食店での生ビールの新たな飲み方を提案している。各社は新たに開発したサーバーを使うなどして、独自の味わいや見た目の楽しさなどを付加価値として訴求。第3のビールやチューハイなどの台頭でビールの存在感が薄まるなかで“ビール復権”を狙う。
定番商品の「一番搾り」をグラスに注いだ上に、シャーベット状に凍らせた泡をソフトクリーム状に盛り付けた「フローズン生」を昨年大ヒットさせたキリンビール。今年は取扱店を現在の約800店から年内に2000店まで増やして攻勢をかける。
さらに、新たにグラス内でビールと果汁やジュースを2層に割って楽しむビアカクテル「ツートン」を4500店で提供する。マーケティング部の林田昌也部長は「作る楽しさを視覚に訴える新たな提案で、ビールファンを増やしたい」と意気込む。
対抗するアサヒビールは“絶妙な冷たさ”にこだわり、主力ビール「スーパードライ」をマイナス2度程度の冷たさで提供する「エクストラコールド」の取扱店を増やす。同商品を取り扱う飲食店は、スーパードライの販売数量も平均15%増加しており、エクストラコールドの押し上げ効果は上々だ。
今年は電気代や設置スペースを約3割抑えた新型サーバーを開発し、取扱店を年内に前年比6割増の5000店に拡大させると鼻息は荒い。
高級ビール「エビス」での巻き返しを図るサッポロビールは“高級感と見た目の美しさ”で勝負する。通常のエビスと、5月に刷新する黒ビールを均等にグラスに注げる新サーバーを開発。グラス上にマーブル状の泡を再現できるため「見た目にもインパクトを与えられる」(野瀬裕之エビスブランド戦略部長)のが特徴で、年間1000店での設置を目標に業務用でのエビスブランドの浸透を図る。
3社の「サーバー競争」から一線を画すのがサントリーだ。同社は高級ビール「ザ・プレミアム・モルツ」を扱う飲食店約4万9000店のうち、提供レベルの高い約1万3000店を「樽生達人店」と認定しているが、今年は注ぎ方やサーバーの洗浄方法などをより厳しく行っている約1000店を「超達人店」として認定する。
提供するビールの品質を最大限に高めることで、「奇をてらわず本質的なビールのうまさを訴求し、差別化につなげる」と力を込める。
若者のアルコール離れなどが進み、2012年のビール市場は8年連続で過去最低を更新するなど苦戦が続く。ビール販売量の約4~5割は飲食店向けの業務用が占めるだけに、新たな飲み方の提案はビール需要を底上げする鍵を握るといえそうだ。